三笘大明神だ! 決勝アシストでW杯圏内2位浮上 久保建と再編新攻撃陣で世代交代へ

イレブンは三笘(中央)を祝福(ロイター)

日本代表デビューのMF三笘薫(24=サンジロワーズ)が救世主となる大活躍だ。苦境に立たされていた森保ジャパンは16日(日本時間17日)のカタールW杯アジア最終予選オマーン戦(マスカット)に1―0で勝利し、今予選で初めてW杯出場圏内となるB組2位に浮上した。攻撃陣が停滞する中、途中出場の三笘が決勝アシストの活躍。今後のチーム再編は必至で世代交代が一気に進みそうだ。

三笘の登場が攻撃陣のムードを一変させた。決定機をつくれないまま前半を無得点で折り返すと、森保一監督は後半開始からMF柴崎岳(レガネス)を下げ、三笘を投入して勝負に出た。

三笘はピッチに立つやいなや得意のドリブル突破でチャンスをつくると、その後もたびたびキレのある動きで仕掛けてオマーン守備陣を翻弄。明らかに試合の空気を変えた。この機を逃すまいと指揮官はさらに交代カードを切り、17分にFW古橋亨梧(セルティック)とDF中山雄太(ズウォレ)を送り出した。

そして、ついに待望の瞬間が訪れる。後半36分、左サイドで中山が縦パスを入れるとスピードに乗った三笘が突破。ゴール前へ絶妙のクロスを入れ、待ち構えたFW伊東純也(ゲンク)が左足でゴールへ押し込んだ。決勝アシストの活躍を見せた三笘が、過酷な中東アウェーで森保ジャパンに貴重な勝ち点3をもたらした。

この勝利で日本はオーストラリアを抜いて初めてW杯出場圏内となる2位に浮上。7大会連続の本大会出場へ向けてようやく光が差してきた。

とはいえ3連勝の内容はいずれも綱渡りで、11月の2連戦も格下のベトナム、オマーンを相手に決定力不足を露呈して大苦戦。決して褒められた内容ではない。3位のオーストラリアとは勝ち点1差と1試合でひっくり返る僅差。解任論がくすぶる森保監督も今後の戦い次第では去就問題再燃は避けられない。指揮官も「2位に上がったが、我々が油断をしたり隙を見せれば順位はまた入れ替わる」と厳しい姿勢を崩さなかった。

今後は事態の打開へ向けてチームの立て直しは急務となる。特に重要なのが攻撃陣の再編だ。FW大迫勇也(神戸)やMF南野拓実(リバプール)らを中心に据える前線は限界を露呈。そこで台頭してくるのがデビュー戦で活躍した三笘と、間もなく右ヒザの負傷から復帰するMF久保建英(マジョルカ)だ。

三笘のドリブル突破は世界に通用する武器。「薫みたいに個ではがして相手の脅威になっていく選手はあんまり日本にいないタイプ」と中山が指摘するように、選手間で高い評価を得ている。そこに9月の中国戦でトップ下として躍動した“至宝”の久保がチームに復帰すれば強力コンビになることは間違いない。

三笘も「東京世代がもっともっとやらなきゃいけないとは常に言っている。これからどんどんスタメンを担える選手が増えるように僕も頑張りたい」と世代交代に強い意欲を見せている。

そこに復調の兆しを見せている元10番のMF中島翔哉(ポルティモネンセ)らも加わり、攻撃陣の再構築が行われそうだ。三笘と久保という新時代の“ダブルエース”が、窮地の森保ジャパンを救う起爆剤になる。

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