武田修宏氏が〝アンチ森保〟に反論「まずは結果が大事」サッカー界への悪影響を危惧

W杯圏内に浮上したが森保監督への批判は止まらない(ロイター)

アンチ勢力に物申す――。日本代表は16日(日本時間17日)のカタールW杯アジア最終予選オマーン戦(マスカット)に1―0で勝利し、W杯圏内となる最終予選B組の2位に浮上したが、森保一監督(53)の采配への批判は続き、逆風は収まる気配を見せない。そんな中、元日本代表FWで本紙評論家の武田修宏氏(54)が指揮官の低評価に反論を展開。日本サッカー界の発展を見据えた危機感も訴えた。

オマーン戦は、後半途中投入のMF三笘薫(サンジロワーズ)が、流れを一気に変える活躍を見せた。左サイドの突破からMF伊東純也(ゲンク)の決勝点をアシスト。9月の最終予選初戦にホームで敗れた相手にリベンジし、11月シリーズはアウェー2連勝でB組2位に順位を上げた。

それでも森保監督への支持が集まったとは言い難い。評論家やサッカーファンにはアンチが多いままだ。というのも世代交代を求める〝世論〟に反し、オマーン戦でもベテランのFW大迫勇也(神戸)やDF長友佑都(FC東京)を先発させた。Jリーグの活躍を認めて招集したFW前田大然(横浜M)とMF旗手怜央(川崎)を、2戦ともベンチ外としたことも反感を買った。

元日本代表FW城彰二氏は自身のユーチューブチャンネルで「前田や旗手をまったく使わなかった。呼ばれた選手も厳しいし、送り出したクラブも『いらないじゃないか』となる。この辺のバランスを、もう少し考えなければいけないと思う」と指摘。ベテラン重用にも「若手にチャンスを与えればベテランも『負けてられない』となり、そういう中でレベルが上がる」などと話している。

もちろん、それぞれの意見は尊重されるべきだが、かねて大迫や長友の〝ベテラン力〟を評価する武田氏は逆の立場だ。

「アウェー2試合での勝ち点6をもっと評価すべきだ。ベトナム戦前は移動のトラブルもあったし、東南アジアもレベルが上がって決して簡単ではなかった。完璧な内容で勝てれば理想だけど、最終予選はそう簡単じゃない。まずは結果が大事。このままW杯に出られたら、いろいろ言った人たちは、どう説明するんだろうね」

このままでは将来のサッカー界へも悪影響も出かねないという。「勝っても批判されるようじゃ、誰も代表の監督なんてやりたいと思わないよ。常に勝利が求められるブラジルも代表監督のプレッシャーが大きく、やりたいと思う指導者は多くないし、日本もそうなってしまうよね」。結果が出なければ、何を言われても仕方ないとはいえ、勝っても批判されるような状況は望ましくないというわけだ。

とはいえ、武田氏も攻撃面には物足りなさを感じている。「攻撃のコンビネーションやパターンを増やすところは課題かな。今度(来年1~2月の最終予選は)はホーム2試合だし、少しは時間が取れると思うので改善できればと思う」。森保監督は1993年の「ドーハの悲劇」をともに経験した盟友の期待に応え、根強いアンチを根絶する試合を見せることができるのだろうか。

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