中国国営メディアが彭の「私は行方不明ではない」手紙公表も WTAは「とても信じられない」

手紙を公表した彭帥(ロイター)

ますます怪しくなってきた。女子テニスの彭帥(35=中国)が、中国の張高麗元副首相(75)に性的関係を強要され不倫関係になったことを告発後、消息不明になっている問題で、中国の国営メディアが彭が女子テニスツアーを統括するWTAに出した手紙を公表。しかしWTAは〝ねつ造〟を疑う声明を発表した。

中国の国営メディア「CGTN」は、彭がWTAにメールを送り、自分についての懸念を払拭したと、彭のメールを添えて報じた。メールは英文で「皆さん、こんにちは、彭帥です。WTAの公式サイトで発表された最近のニュースについて、その内容は私自身が確認・検証したものではなく、私の同意なしに発表されたものです。性的暴行の疑惑を含め、そのニュースは真実ではありません。私は行方不明ではありませんし、安全です。家で休んでいるだけで、すべて問題ありません」と性的関係を強要されたことも否定。「WTAが私に関するニュースをこれ以上発表する場合は、私に確認し、私の同意を得た上で発表してください。プロのテニスプレーヤーとして、皆さんの配慮に感謝しています」などと記している。

安全ならなぜ、自身のSNSで発しないのか。同じように思ったのがWTAだ。スティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)兼会長は17日(日本時間18日)、公式ホームページ上で声明を発表。「中国の国営メディアが本日発表した彭に関する声明は、彼女の安全と所在に関する私の懸念を高めるものだ。彭が、私たちが受け取ったメールを実際に書いたとはとても思えない」と手紙を信用していないこと言及。「彭は中国政府の元高官に対する性的暴行の疑惑について、信じられないほどの勇気を持って伝えた。WTAをはじめとする世界の人々は、彼女が安全であるという独立した検証可能な証拠を必要としている。私は何度も何度も彼女に連絡を取ろうとしましたが、無駄だった」と、安全な証拠を示すよう訴えた。また、彭の問題について「完全な透明性と検閲なしで調査されなければならない」と、これまで通り公正な徹底調査を求めている。

大坂なおみ(24=日清食品)らも懸念する彭の問題。中国の対応が注目される。

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