高齢運転の不安、作業療法士に相談を 全国初、神奈川県警が免許センターに常時配置

ドライブシミュレーターによる運転技能の検査で、助言・指導する作業療法士の清水隆行さん(右)=横浜市旭区の県警運転免許センター

 高齢ドライバーの事故が後を絶たない中、運転に不安がある高齢者とその家族をサポートしようと、神奈川県警が相談体制を強化している。今春から県警運転免許センター(横浜市旭区)に常時、作業療法士を配置。医学的な知見を反映させた助言や指導をしている。窓口となる電話相談ダイヤル「#8080」の周知に力を入れており、運転教育課は「困ったことがあれば抱え込まずに相談してほしい」と呼び掛けている。

 同センターでは、希望する高齢運転者への対面相談やドライブシミュレーターを活用した適性検査を実施。運転継続の可否判断や、安全運転の助言・指導を行っている。運転技能や身体能力の低下を自覚していない高齢ドライバーでも、検査で客観的なデータが示されることで、免許の返納を決断することも多いという。センターでは、返納することで受けられる支援についても説明している。

 今年4月からは作業療法士の白岩淑子さん(36)と清水隆行さん(32)を常勤で配置。検査で得られたデータを基に、医学的な観点で身体、認知機能を分析し、受検者に説明している。これまで難しかった個別の事情に応じたきめ細かな助言もできるようになった。

 運転免許センターへの作業療法士の配置は、県警が全国の警察に先駆けて始めた。白岩さんは「運転に自信があり、免許返納をためらっている高齢ドライバーでも、検査と話し合いを重ねることで納得して返納したケースがあった」と話す。

© 株式会社神奈川新聞社