ハローの日

 〈君は「YES」って言う、僕は「NO」/君は「ストップ」って言う、僕は「ゴー・ゴー・ゴー」/君は「さよなら」、僕は「ハロー、ハロー、ハロー」…〉▲もしもこの欄に音楽が流せたら、きっと「あ、聞いたことある」と分かってもらえるはずだ。1967年に発表されたビートルズの「ハロー・グッバイ」は、まるで押し問答のように延々と続くシンプルな対句表現が印象的▲〈どうして「さよなら」なんて言うの、僕には分からない〉…ガールフレンドに別れを切り出されて抵抗しているのだろう、いや、転換期を迎えて意見の食い違いに直面したバンドの内情を暗示しているのだ…▲と、歌詞の解釈には諸説あるようだが、繰り返される「ハロー」の柔らかく前向きな響きは耳に残る。試しに数えてみたら、おしまいまでに32回▲きょう21日は「ワールド・ハロー・デー」。日本では石油ショックの引き金としても記憶される73年秋の第4次中東戦争に際して、米国の大学関係者が「あなたの周りの10人に『ハロー』を」と提唱したのが始まりなのだという▲どこの国の言葉でも「こんにちは」は会話が始まる合図だ。短い「ハロー」に込められた「紛争よりも対話を」の思いは指導者たちに届いているだろうか。この記念日が生まれて来年で半世紀。(智)

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