いい夫婦の日

 きょうは「いい夫婦の日」。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、戦前は見合い結婚が7割を占めていたが、1960年代に恋愛結婚と比率が逆転し、今では9割が恋愛結婚だ▲〈君が瞳を見るときは/たちまち消ゆるわが憂い/君にくちづけするときは/たちまち晴るるわが思い〉▲詩人ハイネの詩に作曲家シューマンが曲を付けた「詩人の恋」さながらの情熱的な恋愛を経て結婚したとしても、「熱」は大概冷めてゆくもの。だが、そこからが本当の夫婦なのかもしれない▲作家の故遠藤周作さんは夫婦の愛について、二人が人生の苦しみも喜びも分かち合い、時には尽きようとする心の火を、忍耐と努力によって一生、消さないときに生まれる、と書いている(ぐうたら愛情学)▲いい夫婦の日にちなみ明治安田生命が全国の既婚男女1620人に実施したアンケートによると、「配偶者から言われたいひと言」の最多は「ありがとう」で29.5%。「お疲れさま」が9.8%で続いた。「愛してる」は4.6%で7番手だ。やはり日本人は直接的な愛情表現が苦手ということか▲夫婦生活が長くなっても、感謝やねぎらいの気持ちはしっかり言葉にのせて伝えていきたい。もうハイネのような愛のささやきは恥ずかしくてちょっと無理だとしても。(潤)

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