「チャイニーズピープル」大好き男・バッハ会長が本領発揮! 北京五輪開催へ騒動火消しへ

トーマス・バッハ会長(ロイター)

頭の中は「チャイナ」でいっぱいか。女子テニスの彭帥(35=中国)が中国の張高麗元副首相に性的関係を強要されたと告発した騒動が世界中に波紋を広げる中、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(67)が満を持して登場。彭と30分間のビデオ通話を行い、IOCは公式サイトで「彭は安全で元気に北京の自宅で暮らしている」などと発表した。

今回、バッハ会長はコメントを出さず、写真もビデオ超しに会話する後ろ姿のみ。やや控えめな登場だったが、事情に詳しい五輪関係者は「いつものやり方だ」と指摘する。バッハ会長と言えば、新型コロナウイルス禍で東京五輪開催が危ぶまれる中で強硬姿勢を崩さず世界中から非難を浴びたことは記憶に新しい。米ワシントンポスト紙から〝ぼったくり男爵〟という異名を付けられるなどヒール役が定着したが、前述関係者は「彼は政治家。今は中国しか頭にない」と事情を話す。

バッハ会長の任期はパリ五輪の翌年の2025年まで。会長としても迎える冬季五輪は来年の北京五輪が最後となることから、何としても成功裏に開催してIOCの存在意義を知らしめる思惑が見え隠れする。実際、東京五輪開幕1週間前に大会組織委員会・橋本聖子会長らとの面会の席で「最も大事なのはチャイニーズピープル…」と発言。「日本人」と「中国人」を言い間違える痛恨のミスを犯し、この時も「もう頭の中は北京五輪なのか」と批判された。

振り返れば18年平昌五輪後も訪朝し、北朝鮮の要人と面会するなど〝政治家〟のような動きを見せた。この時は五輪が「南北融和」に貢献したとして評価を受ける一方で「IOCの存在感を高める狙い」と揶揄(やゆ)されていた。

今回の行動は単純に彭を救うためなのか。それとも騒動を火消しして、つつがなく北京五輪を開催する目的か。今後の成り行きを注視したい。

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