彭帥の失踪問題が中国と〝ズブズブ〟IOCを直撃! 米紙「バッハ会長が声上げるべき」

IOC・バッハ会長(東スポWeb)

このまま沈黙を貫くのか…。女子テニスの彭帥(35=中国)が、中国の張高麗元副首相(75)に性的関係を強要されたと告発した後に消息不明になっている問題で、海外メディアの間では来年2月開幕の北京冬季五輪と結びつける動きが加速している。

北京五輪に関しては、かねて人権団体や専門家らがイスラム教徒の新疆ウイグル自治区などでジェノサイド(大量虐殺)が行われていると指摘してきたが、中国側はこれを否定。一方の国際オリンピック委員会(IOC)は人権を尊重しつつ「中国の人道的な状況は我々の権限の範囲内にない」という立場を明確にしている。

そうした中、彭が告発後に消息不明になった件について、IOCは静観しているが、米「ニューヨーク・タイムズ」はこの態度を疑問視。同メディアは「『彭帥はどこだ?』。それはIOCと、その会長であるトーマス・バッハが北京五輪を開催する中国に向かって大声で、真正面から叫ぶべき問題だ」とのコラムを掲載した。

今回の件では、当初IOCが「(中国の声明を受けて)彼女が安全であるという保証に勇気づけられている」との見解を示し、同コラムは「IOCはどんなファンタジーの世界に住んでいるのか?」とチクリ。さらに「北京五輪は巨額な放映権料と企業のスポンサー料、それから中国政府が国際舞台からリスペクトを手にするために費やした数十億ドルによって支えられている。バッハとIOCが〝独裁的なホスト〟を呼び出す勇気があるだろうか? 少なくともこれまでのところ、答えは『ノー』だ」と主張した。

また、米「ニューヨーク・ポスト」もコラムで「IOCは権威主義者の足元をうろつき、アスリートの尊厳よりも収益を優先している」。続けて「北京が自国の安全を保障しないのに、外国人アスリートの安全を保証することをどのように信頼できるというのか」と述べた。

米国は北京五輪の「外交的ボイコット」を検討するなど、今回の件を重く受け止めている。開幕まで3か月を切ったスポーツの祭典にどのような影響を及ぼすのか。

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