横浜市港北区の大手自動車部品メーカー「ヨロズ」CEO志藤昭彦さん(78)の自伝「町工場からグローバル企業へ─苦難を乗り越えて─」(神奈川新聞社刊)が刊行された。神奈川新聞で昨年、62回にわたり連載した「わが人生」に加筆した。
同社は、1980年代に日産自動車の系列会社として海外進出の成功を収めた。その後、系列解消の苦難にあえぎながら、徹底した現場主義で世界的規模の企業へと転換を果たした。日本の自動車産業の歩みをそのまま体験した回顧録となっている。
志藤さんは横浜生まれ。父が48年に同市鶴見区に創業した町工場が同社の起点となった。戦後日本の高度経済成長を背景に自動車産業の発展、世界同時不況の激震、さらに、コロナ禍では、発想転換による働き方改革の実績などについても振り返る。
「手を動かしてものを作る尊さや大切さ、楽しさを知るとともに、社員を一人の個人として尊重して、その生活や家族にも責任を持つという町工場のDNA」が同社発展の原点と志藤さんは記している。
四六判、236ページ、1650円。書店、新聞販売店で扱っている。問い合わせは、神奈川新聞社出版メディア部電話045(227)0850。