「世界の都市総合力ランキング」発表 3位の東京、強みと課題は?

世界主要48都市を対象とした総合力ランキング「世界48都市総合力ランキング2021」が発表されました。

このランキングは森ビルのシンクタンクである森記念財団が毎年発表しています。ランキングは「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野から構成されています。さらにそれぞれの分野に細かい指標があり、全部で70指標が設定されています。日本からは、東京・大阪・福岡が対象都市となっています。

ランキング結果を見ると1位はロンドン、2位はニューヨーク、そして3位が東京となりました。大阪は36位で、福岡は42位となっています。トップ3の顔ぶれは2016年から変わっていませんが、今回は3位の東京が、2位のニューヨークとのポイント差を縮めています。

分野ごとに東京の評価を見てみると「経済」「研究・開発」「文化・交流」の3つの分野で4位となりました。その中でも「研究・開発」分野については前回のランキングから1つ順位を下げましたが、「文化・交流」分野については東京オリンピック・パラリンピックの開催で「文化イベントの開催件数」の指標が前回の16位から1位となりました。ただ、新型コロナの影響で「外国人訪問者数」が大きく減ったことを受け、「文化・交流」分野の総合順位としては4位になっています。その一方で新型コロナの影響で順位が上がった項目もあります。「居住」分野は前回から3つ順位を上げて9位となり、トップ10に入りました。理由として、リモートワークが浸透したことで「働き方の柔軟性」の指標が前回の41位から2位に大きく改善されたことが挙げられます。その他にも「交通・アクセス」分野は2つ順位を上げて5位となり、全6つの指標のうち、5つで1桁の順位となっています。唯一2桁の順位となったのが「環境」分野の17位です。「環境」には9つの指標がありますが、そのうちの1つ「空気のきれいさ」(PM2.5の年間平均濃度)で東京は前回より改善されたものの21位となっているのも大きく足を引っ張りました。

今回の結果を受け、東京の強みと弱みも発表されています。17位となった「環境」分野において、強みは「都市空間の清潔さ」、弱みは「空気のきれいさ」「緑地の充実度」となっていて、都市の自然環境が足りていないと指摘しています。「経済」分野では「証券取引所の株式時価総額」や「世界のトップ500に入る企業の多さ」が強みである一方、「優秀な人材確保の容易性」「ワークプレイス充実度」が課題とされています。また「研究・開発」分野でも「学力の高さ」は強みですが、「起業する人が少ない」と指摘されています。「交通・アクセス」分野では公共交通の充実といった「都市内交通」が評価されていますが、「航空機の国際線直行便の就航都市数の少なさ」が指摘されています。前回から順位を上げた「居住」分野では、「働く環境」は強みである一方で「社会の自由度・平等さ」や「ICT環境の充実度」といった教育の場へのデジタル普及が弱みとされています。

今回のランキングで世界3位となった東京ですが、現状に満足せず、地道に課題解決に向き合っていくことが期待されます。

© TOKYO MX