入江聖奈にクギ付け! ポスターはセンター、関係者には“直角おじぎ”「みんな心奪われる」

大人気の入江聖奈(東スポWeb)

〝おじぎ姫〟の独壇場だ。ボクシングの東京五輪女子フェザー級金メダルの入江聖奈(21=日体大)が全日本選手権(東京・墨田区総合体育館)で圧倒的な存在感を放っている。同競技はこれまで男子選手ばかりが脚光を浴びてきたが、今大会は入江が大会ポスターのど真ん中に君臨。関係者によると、フィーバーは五輪直後から現在まで続いており、その〝熱量〟は過去最大級だという。

入江は東京五輪で全国に感動を与えた。日本女子初の金メダルという快挙もさることながら、リング上でおじぎをする謙虚な姿勢、元気いっぱいの笑顔とハキハキした受け答えで大ブレーク。さらに「カエル好き」という珍しいキャラクターも加わり、人気はウナギ上りだ。

今大会は試合に出る前から注目を集め、24日の開会式では選手宣誓の大役に抜てき。セコンドから同僚に飛ばす指示が会場に響き渡るなど「声」でも目立っている。極め付きは大会のポスターとパンフレット表紙だ。左に女子フライ級銅メダルの並木月海(自衛隊)、右に男子フライ級銅メダルの田中亮明(岐阜・中京高教)を従え、堂々の〝センター〟で起用されている。

これまでアマチュアボクシングの女子はマイナーな存在だった。お笑いコンビ・南海キャンディーズの「しずちゃん」こと山崎静代が2012年ロンドン五輪を目指した際は大きな話題となったものの、注目は一過性のもので終わった。入江のように実力でスポットライトを浴びたのは今回が初めて。女子ボクシングの認知度は確実に上がりつつある。

日本ボクシング連盟の関係者によると、金メダル獲得後からメディアの取材をはじめ多種多様な業界からイベントのオファーが舞い込んでいるという。連盟事務局の担当者は「一時は電話やメールが集中し、仕事になりませんでした。正直、業務に支障が出ましたが、うれしい悲鳴です。こんなのは今まで初めてですよ」と驚くばかり。新規案件だけでなく〝リピーター〟も多いようで「一緒に仕事したスタッフが彼女の人柄を気に入り、すぐに2回目のオファーを出すケースが目立ちますね」と明かした。

今大会も関係者には立ち止まっておじぎし、笑顔であいさつ。「テレビに出ている時も、普段も一緒。彼女がいると周りがパッと明るくなり、接した人はみんな心を奪われてしまう」(同担当者)。

来月1日発表の「ユーキャン新語・流行語大賞」では「カエル愛」がノミネート。まだまだ人気は衰えそうにない。

入江本人は大学卒業とともに現役引退の意向を示しているが、連盟にとってはできれば辞めてほしくないのが本音かもしれない。

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