五輪マラソン組が揃って苦戦 全日本実業団対抗女子駅伝にみた不可思議現象

奥右がワコールの一山。3区で積水化学の佐藤(右)に引き離された

全日本実業団対抗女子駅伝(28日、宮城・松島町文化観光交流館前~弘進ゴムアスリートパーク仙台=6区間42・195キロ)は、東京五輪1500メートル代表の卜部蘭(26)と1万メートル代表の新谷仁美(33)を擁する積水化学が初優勝を果たした一方で、マラソン代表たちは苦戦を強いられた。

3連覇を目指した日本郵政グループの1区を任された鈴木亜由子(30)は、区間14位と失速。陸上関係者が「ケガをしやすい体質」と指摘するように、天才的な走りを見せながらも、度重なる故障に苦しんできた。今大会は「チームを勢いづける」と休養を経て臨んだものの、チームを勝利に導くことはできなかった。

ワコールの一山麻緒(24)は、最長区間の3区に登場。五輪では8位に入り、2004年アテネ大会金メダルの野口みずき氏以来の入賞を果たした。しかし、炎天下での力走は代償も大きく「体がついてこない」と軽快なピッチが影をひそめ、区間13位に沈んだ。

天満屋の前田穂南(25)はエントリーメンバーに入っていたが、故障の影響で当日の出走はなし。関係者によると、五輪前から状態は良くなかったという。

東京五輪1万メートル7位入賞の広中璃梨佳(21=日本郵政グループ)は3区で10人抜きを達成するなど、中長距離勢は躍動。しかし、マラソン勢は今後へ課題を残した格好だ。

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