破竹のヤクルト・村上に「先輩の意地」 2冠王の巨人・岡本和が磨き上げたもう一つの“技術”

ヤクルト・村上(左)と巨人・岡本和(東スポWeb)

巨人・岡本和真内野手(25)が〝最後の砦〟を死守する。今季、全143試合に「4番・三塁」で出場して39本塁打、113打点で2年連続打撃2冠に輝いた。そんな中「一番意識を持ってやっている」というのが三塁守備。今季、セ・トップの守備成績を残したが、チーム内からは五輪金、日本一に輝いたヤクルト・村上宗隆内野手(21)への意地との見方も飛び出した。

チームでは王貞治以来となる2年連続で本塁打、打点の2冠に輝いた岡本和は「守備は本当に、一番意識を持ってやっている。来年もピッチャーに迷惑をかけないように、取れるアウトは確実に取りたい」と前を向いた。

今季、岡本和は三塁守備(規定試合以上)でセ1位の守備率9割8分8厘をマーク。失策数は4と23試合少なかった昨季の8失策から半減させた。シーズン中の早出練習でノックを受け続けた4番は宮崎春季キャンプでは「ゴールデングラブ賞」と書いた絵馬を青島神社に奉納。「毎年一番取りたい賞ですし、それを目標にまた頑張りたい」と好守の継続を誓う。

ここまで熱心なのは、守備が打撃にも好影響を与えるため。リズムはもちろん「やっぱり下半身使いますし、細かい動きもやるので。バッティングに生きると思ってやっている」(岡本和)。

その一方でチーム内からは「和真にとって大きな目標だった東京五輪、そして日本一達成でヤクルト・村上に先を越された。守備では負けるわけにいかないという意地もあるのでは」と指摘する声も上がった。

五輪で日本の三塁を守ったのは4歳年下の村上だった。2019年3月の侍ジャパン・メキシコ戦で岡本和は村上とチームメートとなると「自分はすぐ抜かれますよ」とポツリ。最年少で3割30本塁打100打点をマークしたばかりだったが、当時19歳の打撃センスに舌を巻いていた。

その〝予言〟どおり村上はその年に36本塁打を放つと、代表の三塁も手に入れた。今季は本塁打39本で並ばれ、打点もわずか1点差に迫られた。

それでも岡本和がまだまだ大きく差を開けているのが守備力。今季、村上は三塁守備率9割5分7厘、13失策と堅守にはほど遠かった。

もっとも高校で捕手だった村上の成長曲線を考えれば、守備力向上も時間の問題。岡本和は「全部まだまだ。たくさんうまい人がいるので、教えてもらいながら、そこに近づけるよう頑張っていきたいと思います」と守備向上に貪欲だった。来季も守備で後輩を圧倒した上で、3年連続打撃2冠も手にできるか。

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