韓国の学校給食室で肺がんにかかる調理師が相次ぐ...今年だけで14人 労組は環境改善訴えストライキ

韓国の学校給食をつくる調理師たちの間で肺がん被害が相次いでいる。今年だけで14人の被害者が出たことが分かった。

参考記事:韓国紙「大韓独立はしたが種子の独立はできず」「対日など種子ロイヤリティは127億円の赤字」

韓国KBS放送は1日、この問題を取り上げ、「学校給食室で長く働いて肺がんにかかった調理師たちが産業災害判定を受けた」とし、「取材してみたところ、肺がんで産業災害を認められた学校給食室調理士が今年だけ14人に達することが確認された」と報じた。

KBSの当該報道キャプション

揚げ物を調理する際に発生する「調理ヒューム(cooking fume)」という有害物質が原因だ。KBSは揚げ物を調理中の巨釜から白い油蒸気が出ている映像を伝えた。

KBSの取材に答えたある調理師は、1日の給食の量が1800人分に上ることから揚げ物も多く、呼吸が苦しくなると外に出て少し休み、また揚げる作業を繰り返さなければならない実情などを訴えている。

この調理師は去る5月に胸が痛むため病院を訪れたところ、肺がんのステージ4であるとの診断を受け、先月22日に産業災害を認められたと伝えられた。KBSの取材では、同調理師を含む13名の労災事実が確認されたという。

KBSの当該報道キャプション

労災が認められた被害者らの診断書を分析したところ、長期間にわたり調理ヒュームにさらされたことが肺がん発症の原因であると判断されていることが分かったとし、「調理ヒュームは、高温で油を加熱すると出る微細な油粒子だが、肺に入ると炎症を引き起こす」とKBSは伝えた。

診断書ではまた、調理室内の換気装置が1台だけなど設備が不足していることも指摘されている。

2日には韓国首都圏の給食労働者2000人余りがソウル市教育庁前で「学校給食労働者決意大会」を行い、このような労働環境の改善をはじめ、非正規職に対する勤続手当の引き上げと上限廃止、福利厚生(祝日休暇費)差別撤廃などを訴えストライキに入った。全国学校非正規職連帯会議は、要求が認められない場合は更なるストライキの決行を予告するなど強い姿勢をとっている。

韓国の有力労組である民主労総で先月発表した「給食室産業安全実態調査」の結果によると、幼稚園と小・中・高校給食室で働く労働者の肺がんの発症率は一般人の24倍に上ると報告された。

他にも学校給食従事者を脅かす要素は多いとされ、運搬、洗浄、調理など多様な過程を経て定められた時間に食べ物を提供しなければならないため△滑りやすく床に倒れる△火傷の危険△食材運搬・調理などによる筋骨格系疾患など多様な危険にさらされている。去る6月には京畿道のある高校給食室で休憩室の壁に固定されたワードローブが落ち、調理師の下半身が麻痺する事故が発生した。

去る2月に韓国教育部が配布した「学校給食室産業安全保健マニュアル」によると、過去6年間(2014~2019年)学校給食室で発生した災害者数は4632人だ。これらのうち、事故で怪我をする割合は約86.38%で、残りの13.62%は病気による災害だ。学校運営日によって毎日3.77人が学校給食室で災害が発生したと伝えられる。

この報道をみた韓国のネットユーザーからは、

「これは酷い。快癒を祈っています」

「…揚げ物は身体にも良くないのでメニューから外したらどうだ」

「チキン店やトンカツ店も大変なんだろうな」

「揚げ物じゃなくて茹で物にしたら?」

などのコメントがネット掲示板に投稿されている。

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