プレゼントを受け取っても場所がない? 1000個のグラブが届いた先にあった課題

「フィールドフォース」がグラブを1000個プレゼントする「グリーングラブプロジェクト」を行った

第1弾はグラブ1000個をプレゼント、第2弾も開始した

喜びを上回ったのは反省と使命感だった。約2か月前に野球用品を製造・販売する「フィールドフォース」が、野球人口の底辺拡大のため、無料でグラブを1000個プレゼントする「グリーングラブプロジェクト」を行った。個数を大幅に上回る応募があったが、同社はグラブが届いた先の環境にもまだまだ野球界が整備しなくてはいけない問題があると痛感した。

届いたグラブをはめた子どもたちの動画や写真に、社内からは喜びの声が上がった。ただ、それ以上に膨らんだ感情があった。担当者の城内憲治さんが明かす。

「野球が上手くなりたい子どもたちを後押ししたいという思いはもちろんですが、野球をやってみたいと思っている子どもたちに向けて、どんな用品をつくるのかという使命感や責任感が大きくなりました。入門者を対象にしたグラブの開発を怠っていたと感じました」

提供している野球用品は充実している自負はある。しかし、野球に関心を持ち始めた子どもたちまで十分に目が届いていないと痛感した。プロジェクト用につくったグラブの最大の特徴は柔らかさ。城内さんは「右利きの人が左利き用のグラブを手にしても、しっかり握れる」と表現する。このグラブで子どもたちにボールを捕る喜びを伝えていきたい思いがある。

そして、城内さんは、その先に見据えるビジョンを語る。分かってはいたことだが、改めて送られてきた動画などで再認識させられた。「首都圏では特にキャッチボールをする場所さえ、なかなかありません。それでも、野球ができる場所をつくろうと、廃校を活用したり、練習場所をつくったりする動きがあります。野球に興味を持ち始めた子どもたちにグラブをプレゼントすることで、少年野球の環境を変えていきたいです」。

第1弾では終われない。1000人の子どもたちへ“クリスマスプレゼント”が届くことになる。同社は「グリーングラブプロジェクト」の第2弾を始めた(応募期間は12月13日午後6時まで、対象は野球を始めようとしている8歳以下の少年少女と保護者)。一人でもプロ野球選手になる夢を描く子が増えるよう、環境が変わるようになってほしいと願っている。(間淳 / Jun Aida)

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