<南風>ボクシング新時代

 アマチュアボクサーの快進撃が続いている。東京オリンピックでは、入江聖奈選手が金メダル、田中亮明選手が銅メダル、並木月海選手が銅メダルを獲得した。その勢いのまま迎えた11月の世界選手権では、坪井智也選手と岡沢セオン選手が日本ボクシング連盟史上初の優勝ならびに複数メダルの獲得を成し遂げたのだ。

 プロボクシング界においても、近年はアマチュア経験豊富なボクサーの活躍が目覚ましい。これは、ここ10年余りプロ・アマ双方の団体がジュニア育成に力を注いできた成果であることは間違いない。

 ジュニア世代育成に初めに動いたのは日本プロボクシング協会。ボクシング競技は高校以上の大会はあるが、ジュニア世代といわれる15歳以下の大会はなかった。そこで2008年より同世代を対象とした全国統一ルールによる大会を開催。第1回大会では現世界王者の井上尚弥選手が優秀選手賞を受賞している。

 これに追随する形でボクシング連盟も12年よりアンダージュニアボクシング大会を開始しており現在、両大会はジュニア世代が目標とするタイトルとして確実にジュニアボクサーのレベルアップに貢献している。

 近年のアマチュア経験ボクサーの活躍を見て感じるのは、ジュニア世代からの基礎習得によるディフェンスのうまさ、ポイントを取る試合運びの巧みさである。一言で言えば試合感にたけており、攻めどころを見逃さず反応できる点。これは試合経験を積んで身に付いたものだろう。大学アマチュアからの転向組を見ると試合数80戦も珍しくなく、この経験値によるアドバンテージは大きい。

 倒すボクシングへの期待は大きいが、攻守のテクニックを生かした試合巧者が台頭する今、戦い方の変化に対応した選手が生き残る時代だ。

(平仲絢子、平仲ボクシングスクールジムマネージャー)

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