打っても投げても衝撃的な“野球女子の役者” 歴史的一戦で芽生えた新たな夢

女優の小玉百夏さん【写真:編集部】

女優・小玉百夏さんは本格的な野球女子、投げても最速104キロ

バットを構えれば、驚きの豪快スイング。マウンドに立てば、最速104キロの直球。映画や舞台などで活躍する女優・小玉百夏さんの名は、野球ファンの間で急速に広がっている。“野球女子の役者”という稀有な存在として、YouTubeチャンネルでも積極的に発信。自らの経験を仕事に生かしながら、新たな夢も見据える。

身長156センチで、ミディアムヘアの童顔が印象的な小玉さん。グラブやバットを手にした瞬間、“別人”のような姿を見せる。どっしりとバットを構え、大きなフォロースルーで鋭い打球を放つ。アクションもこなす女優だけあって、守備では軽快に打球をさばく。投球は大人になってから本格的に練習したにも関わらず、最速104キロを計測する。

「自分の中では、今も現役という気持ちでいます。草野球で本塁打を打った時や、上手くなったと感じる喜びは、子どもの頃と変わらないですね」

小学2年生ころに野球を始め、中学では野球部に入れずにソフトボールに情熱を注いだ。28歳になっても、その思いは変わらない。野球関係の仕事が増えたこともあり、知識を増やして技術を磨く。野球女子を取り巻く環境の変化も実感。阪神や西武などプロ野球の球団が公認する女子チームが誕生し、高校野球では今夏初めて女子の全国大会決勝が甲子園球場で行われた。

「私が中学生だった頃は、女子が甲子園で試合をする日が来るとは思ってもいませんでした。その時代に生まれていたら、出ることができたのかなと想像してしまいます」

女優の小玉百夏さん【写真提供:ワオコーポレーション】

“女子の甲子園”が実現「女子野球をテーマにした映画やドラマをやりたい」

現在の中高生を羨ましく思いながらも、女子野球の裾野が広がっていることを喜ぶ。ただ、まだ環境が十分だとは言えない。女子だからという理由で、野球を諦める子どもも少なくない。だからこそ、女優では珍しい野球女子として、自分にしかできない仕事を思い描いている。

「女子野球をテーマにした映画やドラマをやりたいんです。女子が甲子園で試合をする歴史的な出来事を野球関係者以外の方にも伝えたい。男子のスポーツと言われる中で努力したり、コンプレックスを乗り越えたりする姿は、競技を越えて共感してもらえるものがあると思います」

本格的なアクションを得意とする小玉さんも、男性との体格差という“壁”に直面する。難しさを感じる時もあるが、「小柄でもアプローチの仕方はある」と“個性”として捉える。例えば、激しく回転させられるような演技では、小柄な方が回転スピードは速く、派手に見える。

「怪我をするリスクもありますが、けがをしないように練習すれば小柄なことが武器になります。回される練習を繰り返すと、自分の位置が感覚で分かってくるので、バランスを崩しても怪我を回避する着地の仕方が身に付きます」

途絶えない野球への愛情が原動力となり、仕事への情熱を生み出す。自分にしかできない夢を叶えるため、挑戦を続けていく。(間淳 / Jun Aida)

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