2023年RSC正式導入の新世代“Gen3”『フォード・マスタング』『シボレー・カマロZL1』初披露

 オーストラリア大陸を代表するツーリングカー選手権、RSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップで、2023年より正式導入がアナウンスされている新車両規定“Gen3”を採用する『フォード・マスタング・スーパーカー』と『シボレー・カマロZL1スーパーカー』がついに初お披露目された。

 2021年最終戦の会場となったマウントパノラマでのアンベイルに続き、6日間にわたる一大イベントと化した『バサースト1000』決勝を前にデモ走行も披露。自身2度目のタイトル獲得を決めたばかりの“SVG”ことシェーン-ヴァン・ギズバーゲンと、フォード陣営のホモロゲ登録チームであるディック・ジョンソン・レーシング(DJR)のアントン・デ・パスカーレがそれぞれステアリングを握っている。

 本来なら2022年から導入される計画で開発プロジェクトが進行してきたRSC版“Gen3”は、直近になって南半球でも再び猛威を奮いつつある新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、グローバルなサプライチェーンの不安定性から導入を1年順延する決定が下されていた。

 それでも12月初開催となるマウントパノラマでの2021年大会、第64回“グレートレース”の現地12月3日金曜に、ようやくファンの前で正式お披露目されたマスタングとカマロの両“ポニーカー”は、それぞれ「量産モデルとの近似性を感じさせる車両ディメンション」を目指した新規定に則り、スポーツカーの世界的ビッグネームにふさわしいスタイルで姿を現した。

「今日この場へ来て、我々オーストラリアの“魂”とも言うべきスピリチュアルな場所、モータースポーツの聖地マウントパノラマの麓で、この2台を発表できたことは歴史的な機会となった」と挨拶したのは、シリーズCEOを務めるショーン・シーマー。

「世界はこの発表を非常に注意深く見守っているだろうね。これは、我々のスポーツがいくつかの分野でステップアップし、より多くの聴衆を引き付ける大きな機会になるからだ。マスタングとカマロは新技術と同じくらい車両のデザインと外観に注意を払っており、過去のどの時代のスーパーカーにも負けないアピアランスになった」

「このマシンたちが、Gen3運営委員会、マニュファクチャラー、そしてホモロゲーションチームの協力により、平等なトラックで緊密なレースを生み出すと確信しているよ」

 すでにプライベートテストでのシェイクダウンを済ませている『フォード・マスタング・スーパーカー』だが、このプロジェクトにも積極関与してきた北米フォード・パフォーマンスを率いるグローバルディレクターのマーク・ラッシュブルックも「Gen3スーパーカーを見れば、これがマスタングであることに疑問の余地はないね」と、ロードカーとレースカーの視覚的な融合がフォードにとって大きな意味を持つと語った。

現行のCOTF採用Gen2よりロー&ワイドなプロポーションを採用した『フォード・マスタング・スーパーカー』と『シボレー・カマロZL1スーパーカー』
『シボレー・カマロZL1スーパーカー』はホールデン時代からホモロゲーションチームを担当するTriple Eight Race Engineering(トリプルエイト・レースエンジニアリング)が開発を担当
長年ホールデン・ブランドを展開してきたGM(ゼネラルモータース)は、歴代の4ドアFRサルーン『コモドア』で通算588戦と21回のドライバーズタイトル、34回のバサースト制覇を成し遂げた

■SVGはGen3マシンのスタイリングとサウンドをベタ褒め

「この車両の設計と開発の段階で、我々が焦点を当てて取り組んでいた点が見事に具現化された。さらにそのクルマが、量産ベースのフォード製エンジンを搭載して動き“ラウド”なサウンドを響かせているなんて、まさに夢の実現だよ」と続けたラッシュブルック。

「初期の兆候は、このマシンが素晴らしいレースカーになるだろうということだ。プロジェクトを実現するためにここ数カ月で信じられないほど一生懸命働いてきた、チーフデザイナーのペリー・カッパーと、リードメカニックのマイキー・フリン、そしてDJRを率いるライアン・ストーリーと彼らの仕事を心から誇りに思う」

 一方、この“ダウンアンダー”で長年ホールデン・ブランドを展開してきたGM(ゼネラルモータース)は、歴代の4ドアFRサルーン『コモドア』で通算588戦と21回のドライバーズタイトル、34回のバサースト制覇を成し遂げた。そのブランド消滅に伴い、2023年はシボレーにバトンが引き継がれることになり、新たに『シボレー・カマロZL1スーパーカー』が豪州での第一歩を踏み出す。

「今日、オーストラリアのモータースポーツの歴史に新たな章を発表し、まったく新しい“Gen3”カマロZL1を発表できることを光栄に思う」と語るのは、シボレー・パフォーマンス&レーシングのジム・キャンベル。

「この新型モデルはシボレーの5.7リッター自然吸気LTR V8の紛れもない轟音とともに、スーパーカーでエキサイティングなレースを生み出す役割を担う。2023年にエンジンを始動するのが、今から待ち切れない気分だ!」

 そのラウンチイベントに続き、現地最終戦のプラクティス4を終えた直後には、Gen3モデル初のパブリックランも実施され、レッドブル・アンポル・レーシングの新王者と、今季DJR移籍の新エースがそれぞれ2周を走行した。

「かなりクールな体験だったよ。Gen3カマロの最初のドライバーになれるなんて本当の特権だ。スーパーカーと各チームは、この新規定に100%の信頼を置いて努力を重ねてきた。見た目も最高で、そのサウンドは心の底からクールだと思う、本当に素晴らしいクルマになったね」とSVG。

 一方、マスタングのシートに収まったパスカーレも「間違いなく今、僕らが走らせているものよりも少しだけビューティになった。率直に、とてもカッコいいね」と、そのスタイリングに賛辞を贈った。

「そして何より、このクルマのサウンドと“ノイズ”は最高だ。まるで1000PS級のマシンを操っているような気分だ。開発チームは素晴らしい仕事を成し遂げたと言えるね」

フォード陣営のホモロゲ登録チームDick Johnson Racing(ディック・ジョンソン・レーシング/DJR)が製造するGen3『フォード・マスタング・スーパーカー』
Gen2で製作された同車種同士で比較がしやすいが、4ドア対象の規定にスケーリングしたモデルより、自然なプロポーションを手にしている
「ピットレーンから出た後のみんなの笑顔を見るのは、とても満足のいくものだった」と、モータースポーツ部門責任者を務めるエイドリアン・バージェス

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