2021年「社長の輩出率、地元率」調査 「輩出率」トップは徳島県、 「地元率」は沖縄県がトップ

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 2021年の都道府県別人口に対する社長「輩出率」は、徳島県が5回連続で首位だった。また、社長の「地元率」は、沖縄県が92.8%と他を圧倒。調査を開始以来、9回連続でトップを維持した。
 出身地別の社長数は、東京都が7万1,657人でトップ。2位の北海道の4万6,175人、3位の大阪府4万5,076人を大きく引き離す。社長数は、人口が多い大都市圏や地方の中核県が上位を占めている。
 一方、「地元率」は、沖縄県に次いで、2位が愛知県の89.5%、3位が広島県の87.5%の順で、大阪府は25位、東京都は35位にとどまり、地域性が出た。

  • ※本調査は、東京商工リサーチ(TSR)の企業データベース約400万社の代表者データ(個人企業を含む)から、公開された出身地を抽出、集計した。なお、同一人物が複数の企業で社長を務めている場合、売上高の大きい企業を優先し、重複企業を集計対象外とした。集計対象外企業は30万4,206社。
  • ※都道府県別の社長数は人口に左右されるため、出身都道府県別の社長数と人口(総務省「令和2年国勢調査」2020年10月1日現在)を対比し、社長「輩出率」を算出した。本調査は2010年から集計し、今回が9回目。

社長「輩出率」、徳島県が5回連続トップ

 社長「輩出率」トップは、徳島県が1.35%(前回1.40%)で5回連続トップ。徳島県は堅実・実利を尊ぶ県民性として知られるほか、ブロードバンド環境の整備を進め、先端産業・ベンチャー企業集積も目指している。
 徳島県の人口(71万9,559人、「令和2年国勢調査」2020年10月1日時点基本集計値)は、5年前の平成27年国勢調査から4.6%減少し、減少率は全国平均(0.7%減)を大きく上回る。産業や観光・文化等の進行を目的とした「関西広域連合」に四国で唯一参加し、関西圏との距離が近い。そのためか、住民の転出数が転入数を上回り、人口減少が社長「輩出率」首位を守る一因にもなっている。

社長

人口増の東京通勤圏が「輩出率」低位に並ぶ

 社長「輩出率」 2位は山形県の1.18%。「辛抱強くて、堅実」な県民性に加え、江戸時代から商工業が活発な土地柄で、絹織物「米沢織」や「山形鋳物」など伝統工芸品が数多くある。
 3位は香川県の1.13%、次いで、秋田県1.10%、愛媛県1.02%の順。いずれも人口減少率が全国平均を上回っている。
 一方、輩出率が低いのは、47位が埼玉県(0.26%)。次いで、46位千葉県(0.27%)、45位神奈川県(0.33%)と首都圏が続く。上位県とは対照的に、3県とも人口増加率は1%以上で、県外からの人口流入が輩出率を相対的に下げた格好となっている。

地区別の社長「輩出率」、四国が9回連続トップ

 地区別の社長「輩出率」は、四国が1.09%(前回1.13%)で9回連続トップを守った。次いで、東北0.91%(同0.94%)、北海道0.88%(同0.92%)、中国0.82%(同0.86%)、北陸0.79%(同0.85%)、九州0.72%(同0.73%)、中部0.64%(同0.67%)、近畿0.51%(同0.54%)、関東0.45%(同0.47%)の順。順位の変動はなかった。

社長「地元率」 沖縄県が9回連続トップ

 地元出身者が地元企業の社長を務める社長「地元率」は、沖縄県が92.8%(前回92.9%)で唯一9割を超え、9回連続でトップだった。もともと離島という地理的条件もあり、観光・公共工事・基地に依存した産業構造で、製造業などの大量雇用の受け皿が課題になっていた。最近は観光関連を中心に、旺盛な開業意欲が地元率を高めたとみられる。
 東京商工リサーチが5月12日に発表した“2020年「全国新設法人動向」調査”で、新設法人数を「国税庁統計年報」に基づく普通法人数で除した「新設法人率」は沖縄県が7.8%で11年連続トップだった。

社長

 「地元率」の上位は、沖縄県に次いで、愛知県89.5%、広島県87.5%、北海道87.2%と続く。愛知県、広島県は中核都市であると同時に、自動車産業など基幹産業の取引先や関連企業などの裾野が広く、下請け企業などで先代の跡を継いだ同族社長が多い。
 一方、「地元率」が最も低かったのは、奈良県の65.9%。次いで、長崎県67.0%、兵庫県67.9%、佐賀県68.5%と続く。前回最下位の鹿児島県は42位(63.8→69.3%)に浮上した。
 全国平均は79.8%で、23道県で平均を上回った。

地区別の社長「地元率」、北海道が87.2%でトップ

 地区別の「地元率」では、北海道が87.2%でトップ。次いで、中部84.4%、四国82.6%、東北81.8%、北陸81.4%、中国81.3%、関東77.7%、九州77.1%、近畿74.7%の順。

 政府が地方創生を掲げて久しい。だが、地方から東京など大都市への人口流出に歯止めは掛かっていない。
 一方、新型コロナ感染拡大により、多くの企業でテレワークをはじめとした新しいビジネススタイルが広がった。EC(ネット通販)などの非対面型のビジネスも広まり、出張は激減した。コロナ禍を契機に、地方に住みながら東京の企業に勤務する働き方も認知され、本社を地方へ移転する企業も現れている。こうした動きは東京への一極集中を緩和し、地方の活性化を促す可能性を期待させる。
 地方経済の活性化が進めば、地方での新たな事業創出にもつながる。大企業の東京一極集中に風穴を開け、アフターコロナでも地方への分散が定着すると、社長の「輩出率」と「地元率」に変化が起きる可能性も出てくる。