【くろしお】新聞のいろんな読み方

 よく「本棚を見ればその人が分かる」というが、新聞の読み方からも好みや思想、信条が伝わってくる。1面から順にめくる人がいれば、まずテレビ欄やスポーツ面、社会面、小説や漫画からという人もいる▼千差万別だからおもしろい。作る立場からするとニュース価値に応じて記事の扱いを決めているので、1面トップからが王道とも思うが、それはあくまで編集側の基準。どこから読んでいただいてもかまわない。その時の関心をまず充足させるのも新聞の役割だ▼さまざまな新聞の読み方を知り、共感を示すことで世界が広がる。きょう表彰式がある第19回「新聞」感想文コンクール。中学生の部最優秀賞の高村心花さん(宮崎西高付属3年)は、他の生徒が社会問題や経済情勢の記事をスクラップしていることにショックを受けた▼自分はほのぼのとした家族や動物、季節ものばかり。「自分がお子ちゃまに思えて少し悲しくなった」。しかし友達は逆に「こんな平和な記事があるんだね。ぽかぽかした気持ちになる」と関心を示してくれ多様な価値観を実感。新しい考えや興味に触れて「新聞で生きる力を育もう」と結んでいる▼今回は課題テーマにSDGs(持続可能な開発目標)に関する記事を加えたところ多くの応募があった。子どもたちの日常にしっかり社会的な関心が組み込まれていることが頼もしい。若い目からのフィードバックも、新聞製作の現場に刺激を与えてくれる。

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