住民投票条例 「成立要件」廃止求める請願不採択 長崎市議会

 定例長崎市議会は7日、総務、教育厚生、建設水道の各常任委員会を続行。総務委では、来年4月1日施行の「常設型」住民投票条例について、投票率が50%に満たない場合は成立せず開票もしないとの「成立要件」の廃止を求める請願を賛成少数で不採択とした。
 同条例は9月議会で修正可決し成立。原案には、投票率の成立要件はなかったが、議員側が、投票率が50%に満たない場合は成立しない、との要件を加えた修正案を出し、可決された。
 委員会には請願人の桑野和可氏=長崎大教授=らが参考人として出席。「民意をつぶすことになる」と成立要件廃止を訴えた。委員間の討論では賛成する意見の一方、「9月に議会の責任で修正した。短期間で大幅に状況は変わらない」との反対意見が上がり、採決の結果、不採択となった。
 終了後、桑野氏は取材に対し「とても残念。議会は市民の声を聞くことに背を向けている。少しでも生きた制度にできるよう活動していく」と語った。
 同市では2016~18年にかけ、住民投票に向けた直接請求が5件相次いだが、いずれも田上富久市長が反対し議会が否決。実施には至らなかった。「常設型」住民投票条例では、投票資格者総数の「6分の1以上」の署名が集まれば、議会の議決を経ずに住民投票が実施される。


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