豪華スター陣集結のフィナーレは、同率首位のパストラーナが初代王者に/ナイトロRX最終戦

 2021年9月より北米大陸待望の新選手権としてスタートを切った『Nitro Rallycross(ナイトロ・ラリークロス/NRX)』の初年度最終戦が12月4~5日、ノース・フロリダの“The Firm(ザ・ファーム)”で開催され、ティミー&ケビンのハンセン兄弟(プジョー208WRXスーパーカー/レッドブル・ハンセンNRXチーム)がワン・ツー・フィニッシュを達成。3位表彰台にはスコット・スピード(スバルWRX STIスーパーカー/スバル・モータースポーツUSA)が続きランキング同率首位に並んだものの、第3戦、第4戦と連勝を飾っているシリーズ発起人トラビス・パストラーナ(スバルWRX STIスーパーカー/スバル・モータースポーツUSA)が、初代チャンピオンの座に輝いた。

 2020年のNASCARカップ・シリーズ王者でもあるチェイス・エリオット(スバルWRX STIスーパーカー/ジップリクルーター#GONITRO Car)のワイルドカード参戦で話題を集めたナイトロ・ラリークロスは、日曜からそのカップ・シリーズのスターと“エクストリーム・モータースポーツ”の第一人者がタッグを組み、ド派手なアクションを披露。

 決勝のファイナルヒートを前にエリオットが操縦する飛行機から、パストラーナがスカイダイビングで会場に姿を表すなど、ショーアップを理念に掲げるシリーズらしい演出でファンを熱狂させた。

 そのままスバルWRX STIスーパーカーのステアリングを握ったパストラーナは、ウォームアップを経た最初のヒートでケビンのプジョーを撃破。ファイナルでポールポジションを獲得したスピードと、フロントロウのティミーに続き、ケビンと並ぶ2列目3番手でファイナル進出を確定させた。

 また、スティーブ・アルピン(ヒュンダイi20 RXスーパーカー/GRXロエンブロ)やロビン・ラーソン(アウディS1 RXクワトロ/モンスターエナジー・RXカルテル)ら実力者に混じって、スバルをドライブしたエリオットもファイナル進出を決めるなど、最後尾のタナー・ファウスト(アウディS1 RXクワトロ/ドレイヤー&レインボールド・レーシング)を含む豪華スター陣8台による今季最後の舞台が整った。

 そのフロリダ決勝の早い段階でペースを上げたのは、フロントロウ発進だった2019年のWorldRX世界ラリークロス選手権チャンピオンであるティミーで、その背後には1コーナーで僚友のボディサイドに突撃する勢いで2番手浮上を果たしたパストラーナが続く展開となる。

ファイナルヒートを前にチェイス・エリオット(奥)が操縦する飛行機から、トラビス・パストラーナがスカイダイビングで登場するド派手な一幕も
2021年初年度最後のヒートは、スバルWRX STIスーパーカーvsプジョー208WRXスーパーカーの対決構図に
ターン1ではポールシッタースコット・スピード(#41/スバルWRX STIスーパーカー)のインサイドにパストラーナが突撃する“壁走り”も披露
初挑戦でファイナルまで進出したチェイス・エリオット(#9A/スバルWRX STIスーパーカー/ZipRecruiter #GONITRO Car)だが、猛者たちに囲まれ8位フィニッシュに

■「スバルとファン、お祭りに参加してくれた友人たち全員にありがとう!!」

 オープニングでジョーカーラップを消化していた弟ケビンや、弾き飛ばされたスピードらに対し、マージンを稼ぎたい先頭2台だったが、3周目に交差路へ向かい弟を抑え込むことに成功した兄ティミーとは対照的に、その後もスパートを続けたパストラーナは最終ラップでジョーカーへ飛び込んでいく。

 しかし合流地点で僚友スピードにもフタをされたパストラーナは4番手となり、ティミーを先頭にケビン、スピードの順でフィニッシュラインへ。この結果、スタンディング上ではパストラーナとスピードのスバル勢が219点で並び、開幕と最終戦を制したティミーが惜しくも218点で続く3位に。シリーズ初年度のタイトルは、勝利数で僚友を上回った“盟主”パストラーナの手に渡ることとなった。

「スバルありがとう、ファンにもありがとう、そして、お祭りに参加してくれた友人たち全員にありがとう!!」と、フィニッシュ後に喜びを爆発させたパストラーナ。

「今年は素晴らしい年だったし、ドライバーとしての自分の期待をすべて上回る結果になった。ドライバーとしては勝ちたいけれど、それ以上にNitroRXを最高のチャンピオンシップにしたいんだ。これで、シリーズのコンセプトは実証済みの支持が得られたね」と、主催者としても笑顔のパストラーナ。

「世界最高のラリークロスドライバーがいて、カイル・ブッシュやチェイス・エリオットのようなNASCARカップのタイトルホルダーが出演した。素晴らしい初年度だった。僕はシリーズの将来について、さらにワクワクしているよ」

 そんなトップカテゴリーに続くステップアップ・ラダー戦として併催のNRXクラスでは、インディカーも経験するセイジ・カラムが今季5勝目を飾ったものの、スウェーデン出身のキャスパー・ヤンソンを逆転することは叶わず。

 さらに特別戦として実施されたオフロードUTV『Side-by-Side(サイド・バイ・サイド)』によるイベントでは、地元アメリカ勢を撃破したSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権ランキング2位の実力者兼、電動オフロード選手権エクストリームEレギュラーのミカエラ・アーリン-コチュリンスキーが勝利。NASCARのキャンピング・ワールド・トラック・シリーズに参戦するスター候補生、20歳のヘイリー・ディーガンは惜しくも4位と、表彰台を逃す結果に終わっている。

「スバルありがとう、ファンにもありがとう、そして、お祭りに参加してくれた友人たち全員にありがとう!!」と喜びを語った初代王者パストラーナ
3位表彰台でランキング同点首位まで追い上げた、第2戦勝者のスコット・スピード(#41/スバルWRX STIスーパーカー)
「彼は最多勝かつ、このシリーズをまとめあげた人物。誰にとっても幸福な結末だ」と、勝者ティミー・ハンセン(#21/プジョー208WRXスーパーカー/Red Bull Hansen NRX Team)
パストラーナ、スピードと同点首位でのシリーズ1−2を飾ったSubaru Motorsports USA

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