「無観客」でも前向きに 全九州総文長崎大会 あす総合開会式

(写真左から)実行委員(右)と打ち合わせをする大塚さん=長崎市千歳町、チトセピアホール カメラを手に作業する保家さん=長崎市、瓊浦高 真剣なまなざしでリハーサルを見守る榎並さん=長崎市千歳町、チトセピアホール

 文化活動に取り組む高校生の祭典、第5回全九州高校総合文化祭長崎大会の総合開会式が10日、長崎市内で開かれる。県内各校の生徒会から集まった約30人の生徒実行委が企画、運営し、手作りのパフォーマンスなどを披露する。有観客を目指していたが新型コロナウイルス禍の余波で10月、無観客のライブ配信開催が決定。落胆した実行委の生徒たちだが、気持ちを前向きに切り替えて待望の本番を迎えようとしている。
 「一度通しましたが、どうですか?」。11月上旬、同市内であった総合開会式のリハーサル。県立西彼杵高2年で舞台監督の榎並和華菜さん(17)が、他の委員に声を掛けた。
 学校で取り組んでいる演劇の経験を生かし、実行委員が舞台上で音楽に合わせて体を動かしたり、せりふを話したりして表現するパフォーマンスを制作。無観客が決まりライブ配信向けのパフォーマンスに内容を改めた際、大勢の生徒が向かい合って壁をたたく動作を新たに取り入れた。
 「もがく時間が高校生活の多くを占めたことを伝えたかった。見た人にいろんな感情を持ってもらえれば」。さまざまなことを諦めた経験、マスクで分かりづらくなった友達の気持ち…。コロナ禍を生きる不安と悩みを本番にぶつける。

 11月中旬の夕方。同市伊良林2丁目の瓊浦高屋上で長崎南山高3年の実行委員、保家廉太郎さん(18)が、エイサーの太鼓の音を響かせる瓊浦高生の姿を動画撮影していた。
 中学からドローンやカメラに興味を持ち、友人と起業するほどの腕前。無観客の決定を受け、総合開会式に出演する同校エイサー和太鼓同好会などの紹介映像を配信で流すことになり、制作を引き受けた。
 この日はエイサーと和太鼓の練習をそれぞれ訪ねて撮影。代表者のインタビューや練習の合間のちょっとした部員らのやりとり、横顔などを盛り込んだ約5分の動画にまとめた。「高校生がコロナ禍の中で精いっぱい頑張った結晶を届けたい」と期待を込める。

 「登下校で開会式の会場の前を通るので、そのたびに『あと何日』と数えてきた」。6月発足した生徒実行委の大塚ほのか委員長=県立長崎西高2年=が振り返る。対面で話し合いができないなどコロナ禍の制約は多かったが、一人一人が役割を果たして式を完成させた。「見てくれた方々に少しでも希望を感じてほしい」。今を生きる高校生らの「作品」が幕を開ける。
 総合開会式のライブ配信の詳細は県高文連ホームページで。

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