データで選ぶ「セのベストナイン」 鈴木誠也が圧倒的数値、日本一ヤクルトは3人

広島・鈴木誠也【写真:荒川祐史】

セ・リーグでトップの「WAR」を叩き出したのは鈴木誠也

今年のプロ野球の総決算となる「NPB アワード 2021」が15日に開催される。その中で表彰される賞の中の1つが「ベストナイン」。記者投票によって決まる賞だが、データで選出するとどんな結果になるのか見てみたい。今回はセ・リーグ編だ。

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用いたのは、セイバーメトリクスの指標で打撃、守備、走塁、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標「WAR」。そのポジションの代替可能選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたか、を統計的に推計した指標で、株式会社DELTAのデータを参照した。

セ・リーグでまず目を引くのが、外野手部門。広島の鈴木誠也外野手がWAR「8.7」と12球団でトップの数値を叩き出した。今季は打率.317で首位打者、出塁率.433で最高出塁率を獲得。38本塁打はリーグ2位、88打点はリーグ4位と軒並み高い数値を叩き出した。チームは4位に沈んだものの、MVP級の働きだった。

ヤクルト・山田哲人(左)と村上宗隆【写真:荒川祐史】

MVPの有力候補の村上宗隆はWAR6.8、山田哲人も6.0と高い数字

鈴木誠也のほかの外野手は阪神の近本光司外野手とDeNAのオースティン外野手を選出。特に近本は12球団でも6番目に高い「5.5」をマークしており、貢献度は阪神の中でも随一。阪神ではマルテ内野手が「2.1」でセ・リーグの一塁手の中ではトップだった。

リーグ優勝、日本一に輝いたヤクルトからは中村悠平捕手、村上宗隆内野手、山田哲人内野手が入った。特に村上はリーグで鈴木誠也に次ぐ「6.8」を記録しており、MVPの筆頭候補にも挙がる。山田も「6.1」と高い。中村悠平は「3.0」だった。

巨人からは遊撃手の坂本勇人内野手だけが選出。坂本は守備指標「UZR」では中日の京田陽太内野手を下回ったものの、打撃等を含めた総合指標では「4.4」となり、やはりリーグナンバーワンの遊撃手になる。投手は中日の柳裕也投手が「4.6」でトップ。リーグ内の投手では、2位の広島・大瀬良大地投手に1.0の大差をつけていた。

最多はヤクルトの3人で、阪神から2人、巨人、中日、DeNA、広島から1人ずつと6球団全てから選出されることになった。データで選ぶ「ベストナイン」と、実際の投票によって決まる「ベストナイン」に差異は生まれるか。その行方に注目が集まる。

【一覧】15日発表の実際の受賞者と違いはあるか… データで選出した両リーグベストナインの顔ぶれ

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(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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