59歳女性「一括で購入した投資信託が20%マイナスに。どうすれば?」FPの意見は…

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、59歳、公務員の女性。購入した投資信託がマイナスになっており、持ち続けるか手放すか悩んでいる相談者。FPの意見は? また、投資以外でFPが気になった点も…。 FPの伊藤亮太氏がお答えします。


老後資金を貯めようと思い、投資信託を購入しました。

あまり知識もない時にまとまったお金で一括で購入した投資信託が20%ほどマイナスになっているのですが、このまま様子を見たほうがよいのでしょうか? それとも早々に精算した方がよいのでしょうか?

よろしくお願いします。

【相談者プロフィール】

・性別:女性、59歳、公務員

・家族について:子ども2人(30歳、27歳)。27歳のニートの息子と同居中。

父母が健在ですが、サポートが必要なので扶助しています。

・住居の形態:賃貸(中部地方)

・毎月の世帯の手取り金額:14万円

・年間の世帯の手取りボーナス額:30万円

・毎月の世帯の支出の目安:14万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:6万円

・食費:3万円

・水道光熱費:1万5,000円

・保険料:5,000円

・通信費:5,000円

・車両費:5,000円

・お小遣い:1万円

・その他:1万円

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:4万円

・ボーナスからの年間貯蓄額:0円

・現在の貯金総額(投資分は含まない):1,120万円

・現在の投資総額:150万円

・現在の負債総額:なし

※編集部注 計算の整合性がとれない部分も修正せずに掲載しています。

伊藤:ファイナンシャルプランナーの伊藤亮太です。回答させていただきます。まず、『みんなの家計相談』に運用に関して相談される場合は、少なくとも以下の内容を教えていただけますと回答がスムーズになります。

(1)家計の現状が分かるもの
(2)投資状況がわかるもの

ご相談者の場合、おおよその収入や貯蓄額はわかるものの、(2)の投資状況が具体的にわかるものがありません。あくまで投資総額が150万円とだけわかり、どんな投資信託を購入されたかわからないのです。そのため、今後ご相談されるときは(他の皆様も含めて)、どんなものに投資をしたのかわかる情報をご提供いただけますようお願いいたします。

先進国中心の投資信託であればそのまま保持していてOK

さて、内容がわからないものの、運用で20%マイナスが出たというものはさほどないようにも思えます。いつ購入されたのかによりますが、おそらくですが、足もと日経平均株価も戻り歩調ですし、ご相談いただいた際よりは回復しているのではないでしょうか。

なお、トルコなどの新興国に投資されているのであれば話は変わってきますが、米国や日本など先進国中心の投資信託であれば、下がるときもありますが、ある程度戻し(※)ておりますし、今後も総悲観的な想定とはなっておりませんので(むしろ若干楽観的)、そのままお持ちでもよろしいと思います。

※「戻す」とは、金融・証券用語で、ある水準から下がっていた相場(株価)がその水準まで上がることを言います。

投資よりも、堅実に貯金を増やすことが先決

そして、ご相談された状況や内容から見るに、投資よりも堅実に老後資金を貯められた方がよろしいと思います。預貯金額と比較して運用金額がまだそこまで多くはなかったのが幸いかなと思います。そのため、ある程度戻したら売却し(望ましいのは損益トントンですね)、あとは預貯金で確実に貯めていきましょう。

米国への投資であれば、依然堅調のため、そのまま運用されてもよろしいと思います。新興国への投資であれば、まだまだ予断を許せない状況だと思います。コロナ克服後であれば上がる可能性はあるものの、先進国と比べると不調ですね。なかなかすぐには戻さない可能性もあります。

ご相談者の場合、いつまで働くか、そしてお子さまとどう向き合っていくかを真っ先に考えた方がよろしいかと思います。なかなか大変な状況だとは思いますが、継続して働けるのであれば65歳までは働き、その間に資金をさらに貯めましょう。また、お子さまはこのままニートで良いのかどうか……。なんとか社会でやっていけるような状況をつくっていただきたいものの、難しいでしょうか。その点が一番気になります。

損をしたくないなら損切りしてリスタートを

結論です。もし投資で損した分を見たくないと言うことであれば損切りしてリスタートしましょう。まだ貯金する手段はあると思います。ある程度戻ったら売るという選択肢の場合は、何を保有されているかにより対応が異なります。先進国の株式などであればそのまま継続保有もありですし、損益トントンになったら売って投資はやめておきましょう。

そして、貯蓄がどの程度できるのか、リタイアメントプランの検討をしっかり考えられたほうがよいです。公務員であれば退職金などまとまった資金があるかもしれません。そうした資金も着実に貯めることが先決です。

投資を継続したいならリスク分散を

なお、投資を継続したいというお考えであれば、一つの銘柄に投資するのではなく、3~5つ程度に分散して投資することを検討してください。そして今仮に下がっているものがチャンスといえるならば、そうしたものの配分を少し多めにして投資していくのもありです。積立投資もよいでしょう。ただ、私がご相談者の立場であれば、投資よりも堅実に貯めることを選択すると思います。

もし、投資信託の内容等がお分かりで、上記内容でもご不安ということでしたら、詳細をお知らせいただければもう少し具体的な対応策等お伝えすることは可能です。その場合には、再度『みんなの家計相談』にご投稿ください。

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