【厚労省経済課】「医療用医薬品の供給不足に係る対応について」発出/通知全文掲載

【2021.12.12配信】厚生労働省医政局経済課は12月10日、通知「医療用医薬品の供給不足に係る対応について」を発出した。通知全文を掲載する。各都道府県衛生主管部(局)長 宛てのほか、日本製薬団体連合会会長 宛てでは「本年末を目途に出荷調整を解除」を要請。一般社団法人 日本医薬品卸売業連合会 会長と、一般社団法人 日本ジェネリック医薬品販社協会 会長宛てでは「引き続き供給が偏らないように受注・出荷等の協力」を依頼している。医療関係者向け通知では全体として供給量が足りていない品目について、「学会等に優先する患者や処方の変更等に関する意見を聴いた上で、必要な患者への優先的な処方や、処方の変更等をお願いする可能性」を通知している。

各都道府県衛生主管部(局)長 宛て通知全文

厚生労働省医政局経済課は12月10日、各都道府県衛生主管部(局)長 宛てに「医療用医薬品の供給不足に係る対応について」を通知した。

通知の全文は以下の通り。

■「医療用医薬品の供給不足に係る対応について」
平素より、医薬品等の安定供給の確保にご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、一部の後発医薬品製造販売企業が製造管理及び品質管理体制の不備により医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による処分を受け、製品の製造や出荷を長期間停止又は縮小したことを発端として、当該成分の品目を中心として、医薬品製造販売業者各社が自社の製品の供給を継続するための出荷調整が広範に実施されております。
これらの出荷停止や出荷調整を受け、現時点においても、全体として 3,000 品目以上の製品の供給に影響が生じている状況であり、医療機関及び薬局において、必要な量の医薬品を入手することが困難になっているところです。
一方で、後発医薬品の製造販売企業を中心として、在庫放出や増産対応等を通じた安定供給の確保のための努力が継続的に行われてきているところであり、一部の製品規格においては、全体として処方量を満足するだけの供給量となっているが偏在が生じているとの指摘もなされています。
今般、このような状況を踏まえ、需給のバランスの実情について把握するため、令和3年10月1日時点で出荷停止が生じている製品規格について、後発品企業による不祥事が生じる以前の昨年9月及び医薬品供給が不安定となっている本年9月の供給量について調査を実施しました。
供給量に関するデータを解析したところ、出荷停止品目(559 品目)と代替品を含めた同一成分・同一規格である成分規格(324 成分規格)のうち、86%は昨年9月よりも供給量が多く、14%は供給量が減少しており、別添1に掲げる製品規格については、本年9月に供給されている供給量が昨年9月と比べて5%以上増加している一方、別添2に掲げる製品規格については、20%以上減少していることが明らかとなりました。
そのため、リソースの再配分を行い医薬品の安定供給体制が早期に再構築できるよう、別添のとおり日本製薬団体連合会並びに一般社団法人日本医薬品卸売業連合会及び一般社団法人日本ジェネリック医薬品販社協会に対応を求めるとともに、公益社団法人日本医師会、公益社団法人日本歯科医師会、公益社団法人日本薬剤師会及び四病院団体協議会宛て通知しましたので、ご了知いただくととともに、これら団体に加盟していない製造販売業者及び医療機関・薬局を含め、貴管下関係者への周知方よろしくお願いします。

(別添1)
本年9月における供給量が昨年9月における供給量と比べて5%以上増加している成分規格。(ただし、今次調査は、9月における数量調査であるため、季節性があると想定される医薬品(抗菌薬、抗アレルギー薬、鎮咳薬)等については念のため除外した。)
成分・規格 成分
ATP腸溶錠20mg アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物
アセトアミノフェン錠200mg アセトアミノフェン
アセトアミノフェン錠300mg アセトアミノフェン
アテノロール錠50mg アテノロール
アトルバスタチン錠10mg アトルバスタチンカルシウム水和物
アトルバスタチン錠5mg アトルバスタチンカルシウム水和物
アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物配合錠1番 アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物
アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物配合錠2番 アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物
アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物配合錠3番 アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物
アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物配合錠4番 アムロジピンベシル酸塩・アトルバスタチンカルシウム水和物
アムロジピン錠10mg・アムロジピンOD錠10mg アムロジピンベシル酸塩
アムロジピン錠2.5mg・アムロジピンOD錠2.5mg アムロジピンベシル酸塩
アムロジピン錠5mg・アムロジピンOD錠5mg アムロジピンベシル酸塩
アメジニウムメチル硫酸塩錠10mg アメジニウムメチル硫酸塩
アンブロキソール塩酸塩錠15mg アンブロキソール塩酸塩
イトラコナゾール錠100mg イトラコナゾール
イルベサルタン錠100mg イルベサルタン
イルベサルタン錠200mg イルベサルタン
エゼチミブ錠10mg エゼチミブ
エチゾラム細粒1% エチゾラム
エチゾラム錠0.25mg エチゾラム
エナラプリルマレイン酸塩錠10mg エナラプリルマレイン酸塩
エナラプリルマレイン酸塩錠2.5mg エナラプリルマレイン酸塩
エナラプリルマレイン酸塩錠5mg エナラプリルマレイン酸塩
エピナスチン塩酸塩錠20mg エピナスチン塩酸塩
エペリゾン塩酸塩錠50mg エペリゾン塩酸塩
エルデカルシトールカプセル0.5μg エルデカルシトール
オザグレル錠100mg オザグレル塩酸塩水和物
オランザピン細粒1% オランザピン
オランザピン錠10mg オランザピン
オランザピン錠2.5mg オランザピン
オランザピン錠20mg オランザピン
オランザピン錠5mg オランザピン
オルメサルタン錠10mg・オルメサルタンOD錠10mg オルメサルタンメドキソミル
オルメサルタン錠20mg・オルメサルタンOD錠20mg オルメサルタンメドキソミル
オルメサルタン錠40mg・オルメサルタンOD錠40mg オルメサルタンメドキソミル
オルメサルタン錠5mg・オルメサルタンOD錠5mg オルメサルタンメドキソミル
カルコーパ配合錠L100 レボドパ・カルビドパ水和物
カルバマゼピン細粒50% カルバマゼピン
カンデサルタンシレキセチル・アムロジピンベシル酸塩配合錠HD カンデサルタンシレキセチル・アムロジピンベシル酸塩
カンデサルタン錠12mg・カンデサルタンOD錠12mg カンデサルタンシレキセチル
カンデサルタン錠2mg・カンデサルタンOD錠2mg カンデサルタンシレキセチル
クアゼパム錠20mg クアゼパム
クエチアピン細粒10% クエチアピンフマル酸塩
クエチアピン細粒50% クエチアピンフマル酸塩
クエチアピン錠100mg クエチアピンフマル酸塩
クエチアピン錠12.5mg クエチアピンフマル酸塩
クエチアピン錠200mg クエチアピンフマル酸塩
クエチアピン錠25mg クエチアピンフマル酸塩
クエチアピン錠50mg クエチアピンフマル酸塩
クロピドグレル錠50mg クロピドグレル硫酸塩
シロドシン錠2mg・シロドシンOD錠2mg シロドシン
シロドシン錠4mg・シロドシンOD錠4mg シロドシン
シンバスタチン錠10mg シンバスタチン
ジエノゲスト錠1mg・ジエノゲストOD錠1mg ジエノゲスト
ジフルプレドナート軟膏0.05% ジフルプレドナート
スピロノラクトン錠25mg スピロノラクトン
セリプロロール塩酸塩錠100mg セリプロロール塩酸塩
セリプロロール塩酸塩錠200mg セリプロロール塩酸塩
セルトラリン錠100mg セルトラリン塩酸塩
セルトラリン錠25mg セルトラリン塩酸塩
セルトラリン錠50mg セルトラリン塩酸塩
ゾテピン錠100mg ゾテピン
ゾレドロン酸点滴静注液4mg/100mLバッグ ゾレドロン酸水和物
タムスロシン塩酸塩OD錠0.1mg タムスロシン塩酸塩
タムスロシン塩酸塩OD錠0.2mg タムスロシン塩酸塩
チザニジン錠1mg チザニジン塩酸塩
テルビナフィン錠125mg テルビナフィン塩酸塩
テルミサルタン錠20mg テルミサルタン
テルミサルタン錠40mg テルミサルタン
テルミサルタン錠80mg テルミサルタン
ドキサゾシン錠0.5mg ドキサゾシンメシル酸塩
ドキサゾシン錠1mg ドキサゾシンメシル酸塩
ドキサゾシン錠2mg ドキサゾシンメシル酸塩
ドキサゾシン錠4mg ドキサゾシンメシル酸塩
ドネペジル塩酸塩OD錠3mg ドネペジル塩酸塩
ドロキシドパカプセル100mg ドロキシドパ
ドロキシドパカプセル200mg ドロキシドパ
ドンペリドン錠5mg ドンペリドン
ナファモスタットメシル酸塩注射用100mg ナファモスタットメシル酸塩
ナフトピジル錠50mg・ナフトピジルOD錠50mg ナフトピジル
ハロペリドール細粒1% ハロペリドール
ハロペリドール錠1.5mg ハロペリドール
ハロペリドール錠1mg ハロペリドール
ハロペリドール錠3mg ハロペリドール
バルサルタン錠20mg バルサルタン
パロキセチン錠20mg パロキセチン塩酸塩水和物
パロキセチン錠5mg パロキセチン塩酸塩水和物
ピオグリタゾン錠15mg・ピオグリタゾンOD錠15mg ピオグリタゾン塩酸塩
ピオグリタゾン錠30mg・ピオグリタゾンOD錠30mg ピオグリタゾン塩酸塩
ピタバスタチンCa錠1mg・ピタバスタチンCa・OD錠1mg ピタバスタチンカルシウム
ピタバスタチンCa錠2mg・ピタバスタチンCa・OD錠2mg ピタバスタチンカルシウム
ピタバスタチンCa錠4mg ピタバスタチンカルシウム
ファムシクロビル錠250mg ファムシクロビル
フルボキサミンマレイン酸塩錠50mg フルボキサミンマレイン酸塩
フルボキサミンマレイン酸塩錠75mg フルボキサミンマレイン酸塩
プレガバリンOD錠150mg プレガバリン
プレガバリンOD錠50mg プレガバリン
ベザフィブラート徐放錠100mg ベザフィブラート
ベタヒスチンメシル酸塩錠12mg ベタヒスチンメシル酸塩
ベタヒスチンメシル酸塩錠6mg ベタヒスチンメシル酸塩
ベニジピン塩酸塩錠2mg ベニジピン塩酸塩
ベニジピン塩酸塩錠8mg ベニジピン塩酸塩
ポピドンヨード液10% ポビドンヨード
ポラプレジンクOD錠75mg ポラプレジンク
ミルタザピン錠15mg ミルタザピン
ミルタザピン錠30mg ミルタザピン
メキシレチン塩酸塩カプセル100mg メキシレチン塩酸塩
メサラジン腸溶錠400mg メサラジン
メマンチン塩酸塩錠10mg・メマンチン塩酸塩OD錠10mg メマンチン塩酸塩
メマンチン塩酸塩錠20mg・メマンチン塩酸塩OD錠20mg メマンチン塩酸塩
メマンチン塩酸塩錠5mg・メマンチン塩酸塩OD錠5mg メマンチン塩酸塩
ラロキシフェン塩酸塩錠60mg ラロキシフェン塩酸塩
ランソプラゾールOD錠15mg ランソプラゾール
ランソプラゾールOD錠30mg ランソプラゾール
リスペリドン細粒1% リスペリドン
リスペリドン錠0.5mg リスペリドン
リスペリドン錠1mg リスペリドン
リスペリドン錠2mg リスペリドン
リスペリドン錠3mg リスペリドン
リスペリドン内用液1mg/mL リスペリドン
レトロゾール錠2.5mg レトロゾール
ロサルタンカリウム錠100mg ロサルタンカリウム
ロサルタンカリウム錠25mg ロサルタンカリウム
ロサルタンカリウム錠50mg ロサルタンカリウム
ロスバスタチンOD錠2.5mg ロスバスタチンカルシウム
ロスバスタチンOD錠5mg ロスバスタチンカルシウム
ロフラゼプ酸エチル錠2mg ロフラゼプ酸エチル
ロペラミド塩酸塩カプセル1mg ロペラミド塩酸塩
水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム顆粒 水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム

(別添2)
本年9月における供給量が昨年9月における供給量と比べて20%以上減少している成分規格。
成分・規格 成分
アシクロビルシロップ8% アシクロビル
アラセプリル錠12.5mg アラセプリル
イトラコナゾール錠200 イトラコナゾール
エタネルセプトBS皮下注10mgシリンジ1.0mL エタネルセプト(遺伝子組換え)
エピナスチン塩酸塩DS小児用1% エピナスチン塩酸塩
カプトプリル細粒5% カプトプリル
カプトプリル錠12.5mg カプトプリル
クロルプロパミド錠250mg クロルプロパミド
サナクターゼ配合剤 サナクターゼ配合剤
シチコリンH注0.5g シチコリン
スリンダク錠100mg スリンダク
チオクト酸静注25mg チオクト酸
ドパミン塩酸塩点滴静注100mg ドパミン塩酸塩
バンコマイシン塩酸塩散0.5g バンコマイシン塩酸塩
ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル顆粒20% ピペリジノアセチルアミノ安息香酸エチル
ファムシクロビル錠500mg ファムシクロビル
プランルカスト錠112.5mg プランルカスト水和物
プランルカスト錠225mg プランルカスト水和物
ヘプロニカート錠100mg ヘプロニカート
メサラジン顆粒50% メサラジン
リドカイン塩酸塩ゼリー2% リドカイン塩酸塩
レバミピド顆粒20% レバミピド

日本製薬団体連合会会長 宛て/本年末を目途に出荷調整を解除を要請

同日、日本製薬団体連合会会長 宛てにも同様の通知を出した。

通知の全文は以下の通り。

■「医療用医薬品の供給不足に係る対応について」
平素より、医薬品等の安定供給の確保にご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、一部の後発医薬品製造販売企業が製造管理及び品質管理体制の不備により医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による処分を受け、製品の製造や出荷を長期間停止又は縮小したことを発端として、当該成分の品目を中心として、医薬品製造販売業者各社が自社の製品の供給を継続するための出荷調整が広範に実施されております。
これらの出荷停止や出荷調整を受け、現時点においても、全体として 3,000 品目以上の製品の供給に影響が生じている状況であり、医療機関及び薬局において、必要な量の医薬品を入手することが困難になっているところです。
一方で、後発医薬品の製造販売企業を中心として、在庫放出や増産対応等を通じた安定供給の確保のための努力が継続的に行われてきているところであり、一部の製品規格においては、全体として処方量を満足するだけの供給量となっているが偏在が生じているとの指摘もなされています。
今般、このような状況を踏まえ、需給のバランスの実情について把握するため、令和3年10月1日時点で出荷停止が生じている製品規格について、後発品企業による不祥事が生じる以前の昨年9月及び医薬品供給が不安定となっている本年9月の供給量について調査を実施しました。
供給量に関するデータを解析したところ、出荷停止品目(559 品目)と代替品を含めた同一成分・同一規格である成分規格(324 成分規格)のうち、86%は昨年9月よりも供給量が多く、14%は供給量が減少しており、別添1に掲げる製品規格については、本年9月に供給されている供給量が昨年9月と比べて5%以上増加している一方、別添2に掲げる製品規格については、20%以上減少していることが明らかとなりました。
そのため、リソースの再配分を行い医薬品の安定供給体制が早期に再構築できるよう、下記についてご理解いただくとともに、貴団体の加盟団体を通じて会員会社に周知徹底いただき、適時に適切な対応が行われるよう指導をお願いいたします。
なお、本通知の写しを公益社団法人日本医師会、公益社団法人日本歯科医師会、公益社団法人日本薬剤師会宛て送付していることを申し添えます。

1. 別添1に掲げる成分規格については、本年9月における供給量が昨年9月と比較して5%以上増加しており、成分規格全体として概ね需要を満たしているものと考えられるため、本年末を目途に、当該成分規格を製造販売する企業は出荷調整を解除すること。
なお、製造・供給については、通常時と同様に対応すること。
2. 同時に、別添1に掲げる成分規格について、医療機関、薬局、卸売販売業者等の関係者が確認することができるよう、各製造販売企業の販売する製品ごとの供給状況を把握いただき、例えば、業界団体のウェブサイトに掲載する等により、適切な情報提供を行うこと。
3. 別添2に掲げる成分規格については、本年9月における供給量が昨年9月と比較して20%以上減少しており、成分規格全体として供給量が足りないものと考えられるため、増産対応について検討を行い、可能な場合には増産にご協力いただきたいこと。
4. 医療用医薬品の供給状況等について、医療機関・薬局等に対して適切な情報提供が行われることは重要であるため、引き続き、「医療用医薬品の供給不足に係る適切な情報提供について」(令和2年12月18日付け厚生労働省医政局経済課長通知)に従い必要な情報提供を行うこと。
5. 製造販売する医薬品を安定的に供給することは、一義的には製造販売企業の責務であることから、今後は、医薬品関係業界において、必要な調査等を実施し、安定供給に努めること。

一般社団法人 日本医薬品卸売業連合会 会長と、一般社団法人 日本ジェネリック医薬品販社協会 会長宛て/引き続き供給が偏らないように受注・出荷等の協力依頼

一般社団法人 日本医薬品卸売業連合会 会長と、一般社団法人 日本ジェネリック医薬品販社協会 会長宛てにも同様の通知を出した。

通知の全文は以下の通り。
■「医療用医薬品の供給不足に係る対応について」
平素より、医薬品等の安定供給の確保にご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、一部の後発医薬品製造販売企業が製造管理及び品質管理体制の不備により医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による処分を受け、製品の製造や出荷を長期間停止又は縮小したことを発端として、当該成分の品目を中心として、医薬品製造販売業者各社が自社の製品の供給を継続するための出荷調整が広範に実施されております。
これらの出荷停止や出荷調整を受け、現時点においても、全体として 3,000 品目以上の製品の供給に影響が生じている状況であり、医療機関及び薬局において、必要な量の医薬品を入手することが困難になっているところです。
一方で、後発医薬品の製造販売企業を中心として、在庫放出や増産対応等を通じた安定供給の確保のための努力が継続的に行われてきているところであり、一部の製品規格においては、全体として処方量を満足するだけの供給量となっているが偏在が生じているとの指摘もなされています。
今般、このような状況を踏まえ、需給のバランスの実情について把握するため、令和3年10月1日時点で出荷停止が生じている製品規格について、後発品企業による不祥事が生じる以前の昨年9月及び医薬品供給が不安定となっている本年9月の供給量について調査を実施しました。
供給量に関するデータを解析したところ、別添1に掲げる製品規格については、出荷停止品目(559 品目)と代替品を含めた同一成分・同一規格である成分規格(324 成分規格)のうち、86%は昨年9月よりも供給量が多く、14%は供給量が減少しており、本年9月に供給されている供給量が昨年9月と比べて5%以上増加している一方、別添2に掲げる製品規格については、20%以上減少していることが明らかとなりました。
そのため、リソースの再配分を行い医薬品の安定供給体制が早期に再構築できるよう、別添のとおり日本製薬団体連合会長宛て通知しましたので、ご了知いただくととともに、流通担当事業者として、引き続き、製造販売業者、医療機関・薬局等と協力しつつ、当該成分規格の供給が偏らないように受注・出荷を行い、返品を避けていただくよう配慮いただく等、医薬品の安定供給及び円滑な流通にご協力いただきますようよろしくお願いします。

公益社団法人 日本医師会 担当理事、公益社団法人 日本歯科医師会 担当理事、公益社団法人 日本薬剤師会 担当理事、一般社団法人 日本病院会 会長、公益社団法人 全日本病院協会 会長、一般社団法人 日本医療法人協会 会長、公益社団法人 日本精神科病院協会 会長宛てにも通知/全体として供給量が足りていない品目については「学会等に優先する患者や処方の変更等に関する意見を聴いた上で、必要な患者への優先的な処方や、処方の変更等をお願いする可能性」を通知

公益社団法人 日本医師会 担当理事、公益社団法人 日本歯科医師会 担当理事、公益社団法人 日本薬剤師会 担当理事、一般社団法人 日本病院会 会長、公益社団法人 全日本病院協会 会長、一般社団法人 日本医療法人協会 会長、公益社団法人 日本精神科病院協会 会長宛てにも通知を出した。

通知の全文は以下の通り。

■「医療用医薬品の供給不足に係る対応について」
平素より、医薬品等の安定供給の確保にご協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、一部の後発医薬品製造販売企業が製造管理及び品質管理体制の不備により医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律による処分を受け、製品の製造や出荷を長期間停止又は縮小したことを発端として、当該成分の品目を中心として、医薬品製造販売業者各社が自社の製品の供給を継続するための出荷調整が広範に実施されております。
これらの出荷停止や出荷調整を受け、現時点においても、全体として 3,000 品目以上の製品の供給に影響が生じている状況であり、医療機関及び薬局において、必要な量の医薬品を入手することが困難になっているところです。
一方で、後発医薬品の製造販売企業を中心として、在庫放出や増産対応等を通じた安定供給の確保のための努力が継続的に行われてきているところであり、一部の製品規格においては、全体として処方量を満足するだけの供給量となっているが偏在が生じているとの指摘もなされています。
今般、このような状況を踏まえ、需給のバランスの実情について把握するため、令和3年10月1日時点で出荷停止が生じている製品規格について、後発品企業による不祥事が生じる以前の昨年9月及び医薬品供給が不安定となっている本年9月の供給量について調査を実施しました。
供給量に関するデータを解析したところ、別添1に掲げる製品規格については、出荷停止品目(559 品目)と代替品を含めた同一成分・同一規格である成分規格(324 成分規格)のうち、86%は昨年9月よりも供給量が多く、14%は供給量が減少しており、本年9月に供給されている供給量が昨年9月と比べて5%以上増加している一方、別添2に掲げる製品規格については、20%以上減少していることが明らかとなりました。
そのため、リソースの再配分を行い医薬品の安定供給体制が早期に再構築できるよう、別添のとおり日本製薬団体連合会並びに一般社団法人日本医薬品卸売業連合会及び一般社団法人日本ジェネリック医薬品販社協会宛て通知しましたので、ご了知いただきますようお願いします。
なお、医薬品の安定供給体制を早期に再構築するためには、医薬品の偏在がなるべく生じないようにすることが必要であるため、処方見込みや在庫量を把握の上、必要最低限の発注としていただき、返品は避けていただきますようご配慮いただきたく、貴会関係者への周知方よろしくお願いします。
また、別添2に掲載されている成分規格については、成分規格全体として供給量が足りていないものと考えらえるため、当該成分規格を製造販売する企業に対して増産対応等を依頼しているところですが、今後、関係する学会等に優先する患者や処方の変更等に関する意見を聴いた上で、必要な患者への優先的な処方や、処方の変更等をお願いする可能性があることを申し添えさせていただきます。

編集部コメント/「量から質へ」の大きな転換期

まず、今回の通知では、薬局現場で挙がっていた「患者に現状を説明しづらい」との課題に対して、厚労省からの通知発出などを具体的な根拠の一つとして説明しやすくなったと考えられる。
また、具体的に「20%以上供給量が減少している品目」が明らかになったことで、処方医との協議の材料も増えたといえる。

後発薬の供給不安をめぐっては、「薬価制度が問題」など、国の政策を問う意見が噴出する一方で、不祥事を起こした製薬企業でさえ利益率は20%程度あったとの指摘もあり、一概に薬価制度が問題だとするのには論拠が乏しいといえる。

この問題において重要な視点は、わが国のあらゆる領域で局面が変わりつつあるということではないだろうか。モノ・ヒトが豊富で、競争し合うことでより良い市場が形成される環境は、少子高齢化の進展、特に労働人口の減少で変わってしまっている。あるいは、コロナ禍で明らかになったように、感染症という危機を前にグローバルサプライチェーンの問題も大きくなっている。医薬品ですら、「あって当たり前」の感覚から切り替える必要性が出てきているのではないか。

その中にあって、医薬品供給を担う薬局は何ができるのかの議論の進展が期待される。
日本薬剤師会は10月8日に、すでに都道府県薬剤師会に対し、「医療用医薬品の供給不足等に係る薬局での対応について」を発出しており、「引き続き必要量以上の発注を控えることや薬局間での医薬品の融通等の対応」のほか、「状況に応じて処方医への相談などのにより代替薬への変更や投与日数もしくは投与量の変更(短縮)を行うことや患者に相談の上、分割調剤を行うなどの対応を検討する」などの対応を依頼している。
処方医と患者を結べる位置にいる薬局が最大限の貢献をした好事例をいま示していくことは、こうした局面が変わりつつある中では非常に重要である。

「量から質へ」の転換期が訪れている。転換点以降も社会から求められるメーカー、流通、薬局はどのような姿なのか。今が重要な時だ。

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