【おんなの目】 師走

 『十二月どうするどうする甘納豆』(坪内稔典)。

 どうします? どうしましょう。もう十二月。当たり前だが十二月は、二〇二一年の最後の月。それがどこかへ飛んでいく。どこへ消えていくんでしょうかね。何もしなかった一年だったなあ。寝て、食って・・・ふふふ。まあ、いいか。来年は何か目標をたてようかな。立派な高齢者を生きるために。実現性のないことに、鬼が笑うだろうなあ。

 『「今年」もしくは「一年」というものは、観念の中にしか存在しないものであって、存在しているのは、やっぱり今もしくはせいぜい今日だけなんですね。今もしくは今日という存在の現実の前には、一年なんてのはいかにも虚弱な構築物で、だから人は今年の目標に向かって頑張るなんて非現実的な態度には耐えられないんですよ』(池田晶子著・暮らしの哲学から)。残り少ない今年の今日を生きよう。窓ガラスを拭き、床を磨こう。これも私には荷が重いなあ。

 池田氏は続ける。『暮れになれば「来年は」と盛り上がり、お正月には「今年こそ」と決意する。決意してみる。そしてすぐまた忘れる』。

 皆様、今年一年拙い「おんなの目」をお読みくださいましてありがとうございました。「来年こそは」と思っております。忘れません。決して!

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