オリックス25年ぶりVに最も貢献したのは誰? データで占うパ・リーグMVP争い

オリックス・杉本裕太郎、山本由伸、吉田正尚(左から)【写真:荒川祐史】

15日の「NPB AWARDS」で明らかに

今年は15日に、1年間の日本プロ野球を総決算する「NPB AWARDS 2021 supported by リポビタンD」が行われ、記者投票によって決まるMVP、新人王、ベストナインが発表される。日本では優勝チームから選出される例が圧倒的に多くなっており、今年もパ・リーグは25年ぶりの優勝を果たしたオリックスから選出される可能性が高そうだ。ここでは投手、野手が「どれだけチームの勝利に貢献したか」を同じ土俵で比べる指標「WAR」を元に、オリックスのMVP候補を探っていきたい。なおデータは株式会社DELTAのものを参照している。

WARは「勝利寄与度」とも呼ばれ、同じポジションの代替可能な選手が出場した時と比べ、いくつの勝ち星を上積みしたかを表している。守備位置ごとの補正もされ、投打各ポジションの選手を勝利という同じ土俵で比べられるのが特徴だ。

今季のオリックスの選手を見ると、チーム1位の指標を出しているのが山本由伸投手で「8.6」。これは投打通じてパ・リーグ最高の数値だ。シーズン18勝5敗、防御率1.39、206奪三振と旧来の指標でも図抜けた数字を叩き出しているが、勝利と言う観点でもオリックス優勝に最も貢献した選手と評価される。パ・リーグの投手でみても、2位の上沢直之投手(日本ハム)の「5.2」に大きな差をつけている。

チーム内2位に上がったのは初の本塁打を獲得した杉本裕太郎外野手で「5.0」。これはパの野手では森友哉捕手(西武)、柳田悠岐外野手(ソフトバンク)、近藤健介外野手(日本ハム)、源田壮亮内野手(西武)に続く5位の値。打力、走力から算出される攻撃力では柳田と僅差の2位に上がったが、守備でのマイナスが大きくこの数値となった。

3位には首位打者に輝いた吉田正尚外野手の名前が挙がり「4.3」。首位打者、最高出塁率を獲得し打撃での貢献はこちらの守備でのマイナスが大きかった。パ・リーグ野手の守備での貢献を算出すると、マイナスが一番大きかったのはブランドン・レアード内野手(ロッテ)で、以下杉本、吉田正と続く。守備の指標を平均に近づけることができれば、さらに勝利に貢献できそうだ。

以下、オリックス選手のWARは、2年目で13勝を挙げた宮城大弥投手が「4.0」、三塁手として初のゴールデングラブ賞を獲得し、打線では主に2番として奮闘した宗佑磨内野手が「4.0」と続く。データ上は山本のMVP受賞が確実に見えるが、投票結果はどうなっているだろうか。(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』も運営する。

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