第11回「人間もどき」〜療養中のPANTAが回顧する青春備忘録〜

PANTA(頭脳警察)乱破者控『青春無頼帖』

「鳥のように 空を飛び 時間のように 風に舞い」 このコーラスに導かれ、後半の怒涛のソロが始まる。山岸潤史の、メロディに準じて空を舞いながらもいきなり急上昇で飛び出すソロに、果敢に繊細かつ大胆に追随する国府輝幸のハモンド。 いきなりの接近戦に驚き、たじろぎを見せながらもさらに引き離そうと自分の世界へ飛び込んでいく山岸のストラトキャスターに、とんでもない勢いで絡みついてくる国府のハモンド。 おまえよくここまでついてきたなとばかりエンディングに持ち込むや否やピックを放り投げる山岸、鍵盤を両手で叩き下ろす国府輝幸。見るとハモンドの鍵盤は真っ赤な血で染まっている、演奏中、折れてしまい半分立ち上がってしまった鍵盤に気づかずグリスをしかけてしまった国府の手の平を引き裂いていったらしい。 もちろんテイクはこれ以上は続けられず、そのファーストでありラストテイクとなった「人間もどき」がそのまま収められている『走れ熱いなら』であった。

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