【日本薬剤師会】リフィル処方箋の導入、「薬剤師は覚悟をもって受ける必要ある」/山本会長が見解

【2021.12.22配信】日本薬剤師会は12月22日、診療報酬改定率の決定を受けて記者会見を開いた。会見では、記者からリフィル処方箋導入が書き込まれたことへの質問が相次いだ。山本信夫会長は、「リフィル処方箋そのものはずいぶん前から議論になっていたが骨太方針に書き込まれるなど、国としての意向が強かった」との認識を示した上で、「薬剤師が覚悟を持って受ける必要がある」と述べた。

今回の診療報酬改定率の決定においては、リフィル処方箋導入が明記された。

同日に日本薬剤師会が開いた会見では、記者からリフィル処方箋導入が書き込まれたことへの質問が相次いだ。

日本薬剤師会会長の山本信夫氏は、「リフィル処方箋そのものはずいぶん前から議論になっていたが骨太方針に書き込まれるなど、国としての意向が強かった」との認識を示した。

その上で、「分割調剤とは異なると記載されており、これまでとは違った形でそれぞれ対応せよと
いうことと受け止めている」と述べた。

想像の話としつつも、「調剤済になった処方箋が反復利用になると、いったん不可になったものが生き返るのか。中医協で処方箋様式に関して変更するという議論がなかったので急に浮上するのか
どうか」などと話し、詳細な取り扱いについては、なお検討される方向であることを示した。
ただ、「患者に対して貢献する形にならないと“なんちゃって”になってしまう。薬剤師が覚悟をもって受ける必要がある。フォローアップがしやすくなる」とした。

記者からは分割調剤では煩雑さが普及の妨げになったためリフィルではどのような見込みかとの質問が出ると、山本会長は、「煩雑だから分割調剤からリフィルにするというのは論点が違う。そもそも調剤は手間がかかるもの。繰り返し利用される処方箋の中で患者の状況確認を医師と連携して薬剤師が担うということ」と述べた。

現場の薬剤師へのメッセージを問われると、山本会長は、「リフィル処方箋があるからではなく、どうやって患者さんをケアしていくのか。リフィルがあるからないからでなく、今でもそれは発揮しないといけないもの。医師に診断を受けて、リフィル処方箋の場合は医師にかかることが減る可能性がある時に今のような姿勢でいいのか。処方箋に書かれているものを調剤すればいいのではない。患者さんの状況を確認することが全く変わっていく。覚悟を持ってと申し上げているのはそういうことだ」と話した。

編集部コメント/薬剤師が持つべき覚悟とは

山本会長が指摘した通り、今回のリフィル処方箋導入は、限られた医療リソースの中で、どのように効果的・効率的に医療を提供するのかという、国の意向が大きかったといえる。

この命題は、薬局薬剤師がこれまでも長く果たしてきた役割である。

振り返れば、薬価差益の縮小、後発医薬品の普及促進と、疑いない役割を果たしてきた。

その中にあって、今回持ち上がったリフィル処方箋は、現状として長期処方が増加する中で、“患者のより身近で服薬管理を薬剤師に任せたい”というメッセージと受け止めることができる。その過程ではせっかく処方された医薬品が残薬になっていることの解消等を通して、薬剤費の効率化にも寄与できようし、服薬コンプライアンス向上を支えることで治療効果の最大化にも貢献できる可能性がある。

これを実践していくことは、薬剤師が患者からの信頼、ひいては社会からの信頼をより厚くしていくチャンスとも言い換えることができる。
そのためには、処方箋への見方を転換しなければいけないだろう。
薬機法に服薬フォローが義務化されたように、「渡す時だけではなく、渡したあと」に薬剤師の役割の発揮の場は広がっている。
いまだ活用の具体策は検討されるが、処方箋の一度目の利用、二度目の利用で、処方箋の持つ意味が患者の状況によって変わってくることも想定される。
「書かれている処方を正しく」という調剤とは、かけ離れた世界が広がっていくに違いない。

その過程では「手間だけが増えて収入は減った」、あるいは「責任が大きくなった」といった現場の薬剤師から戸惑いの声も出るかもしれない。
しかし、責任の重さなくして、社会的な役割も得られないのではないだろうか。

大きなチャンスが巡ってきている。このチャンスを生かすかどうかは現場の薬剤師にかかっている。

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