普賢岳災害の遺構 屋外展示2棟を解体へ 南島原・土石流被災家屋保存公園

経年劣化した展示家屋を撤去する作業員=南島原市、土石流被災家屋保存公園

 雲仙・普賢岳噴火災害の土石流で被災した家屋を保存している長崎県南島原市深江町の「土石流被災家屋保存公園」内の屋外展示2棟が経年劣化や地盤沈下で倒壊の恐れがあるとして、県は23日、解体工事を始めた。来年2月まで同公園は閉鎖する。
 島原、南島原両市に挟まれた水無川流域では1992年8月8~14日、土石流によって多くの家屋や田畑が埋没した。同公園は、被災家屋11棟を当時の状況のまま現地に保存(うち1棟は移築)して99年4月から展示。土石流災害の恐ろしさを後世に伝えている。
 このうち8棟が屋外に展示され、屋根の崩落や柱のひずみなど経年劣化が進行。中でも2棟は倒壊の危険性が高い上、地盤沈下で陥没する恐れもあるため、管理者の県などが昨年12月に解体を決めた。工事初日は作業員9人が屋根瓦や木柵を撤去した。
 県地域づくり推進課の浦亮治課長(50)は「貴重な遺構で解体撤去は胸が痛むが、安全管理上やむを得ない。他の家屋は補修し伝承したい」と話した。
 隣接する道の駅「みずなし本陣ふかえ」は11月で営業終了。同公園も今回の工事に伴い立ち入り禁止となったが、休憩所として駐車場やトイレは利用できる。


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