【中医協】診療報酬改定率へ医師会がコメント「中医協では医療現場への影響も考慮して議論を」

【2021.12.24配信】厚生労働省は12月24日、中央社会保険医療協議会(中医協)総会を開き、12月22日の予算大臣折衝を踏まえて決定した令和4年度の診療報酬改定率を改めて報告した。これに対し、日本医師会常任理事の城守国斗氏は、「中医協では医療現場への影響を考慮して議論すべき」との考えを示した。

診療報酬改定率の報告を受け、支払側委員、診療側委員のそれぞれからコメントがあった。

健康保険組合連合会(健保連)理事の松本真人氏は、決定した改定率に記載されている事項を着実に進めていく意向を示し、次のように述べた。
「改定率については政府において決定されるものであるため、この枠を十分に踏まえた上で今後、中医協の場で議論を深めていくわけだが、内容を拝見すると、一部の領域について配分、あるいは個別項目に係る方向性が示されている。これはこれまで中医協の議論を受けて政府において一定の判断がされたものと推察する。特に7項目の制度改革事項については中医協での議論も踏まえて改革を着実に進めると書かれており、中医協の場で個別の内容についてはしっかり決めていくということを通じて、中医協の役割をしっかり果たしていきたいと考えている」とした。

日本労働組合総連合会(連合)総合政策推進局長の佐保昌一氏は、看護師の処遇について丁寧な議論を求めた。
「看護師の処遇改善、医療保険制度の持続可能性、新型コロナウイルス感染症の影響等を勘案した改定率であると受け止めているが、薬価等のマイナス改定により医薬品のイノベーションや安定供給、品質確保への影響が懸念されると感じる。看護における処遇改善については介護保険で実施されている処遇改善加算の仕組みを参考に適切な担保措置を講じるとされているが、介護保険ではキャリアパス要件が研修機会の確保で良いとされ、研修を受けさせることまで求めていないことや職場環境等要件が健康診断を実施していることだけで満たせるなど要件が職員のキャリアアップや就労環境の改善に資するもの必ずしもなっていないといった課題がある。医療現場における労働実態に即した要件を設定するべく丁寧に検討していくことが重要と考える。また対象医療機関が限定されることになっており、個々の医療機関における人材確保への影響を重視していく必要がある」とした。

日本医師会常任理事の城守国斗氏は、中医協では医療現場への影響を考慮して議論すべきとの考えを示した。
「今回の改定率を踏まえて今後、中医協で議論をしていくことになるが、今回の大臣合意では一部の個別項目等に関する方向性も示されている。しかし、今後、中医協においてこれらの議論を行うことになるが、中医協では有効性・安全性を確認して検討しているわけだ。加えて医療現場の状況や医療提供体制にどのような影響が出るのかという点も、しっかり考慮しつつ議論を進めるべきだろうと考える」と述べた。

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