三菱香焼工場 大島造船所への引き渡し 建造ドックなど 2割完了

 三菱重工業は27日、長崎造船所香焼工場(長崎市香焼町)の新造船エリアを大島造船所(西海市)に譲渡する契約に基づき、ドックなどの引き渡しを完了したと発表した。譲渡対象は造船関連エリアの4分の3に当たる。このうち今回引き渡したのは2割程度。
 三菱によると、引き渡したのは「100万トンドック」で知られる建造ドック(長さ990メートル、幅100メートル)のほか、つり下げ能力1200トンと600トンの門型クレーン計3基、岸壁施設2カ所。
 残りの主要工場棟は今後、段階的に譲渡し、2022年度中に完了する予定。
 三菱は「船舶と海洋エンジニアリングに経営資源を集中することで、海上物流の発展と世界規模での環境負荷低減に貢献し、事業を持続的に発展させる」とコメント。大島造船所は本紙取材に対し、「事業譲渡でなく、施設の譲渡。建造ドックの活用法は検討中」と答えた。
 香焼工場は1972年、大型原油タンカー専用の建造工場として完成。中韓メーカーの安値受注などの影響を受け、近年主力だった液化天然ガス(LNG)船などの競争力維持が困難と判断。今年3月末、大島造船所への譲渡契約を締結していた。


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