制作に3年、古里への思いを舞台に 市民40人が熱演「ながさきのたね」

舞台で熱の入ったダンスを披露する子どもたち=長崎ブリックホール

 演劇や音楽に興味のある長崎市民が、3年間にわたり制作した舞台「ながさきのたね」(同市主催)が25、26の両日、同市茂里町の長崎ブリックホールで上演された。市民オーディションで選ばれた出演者が熱の入った演技や歌、踊りで観客約400人を魅了した。
 舞台は同ホール開館20周年プロジェクトとして2018年に企画され、同市の劇作家、福田修志さんが構成・演出を担当。同年は台本を作る戯曲講座、19年は劇中に使う楽曲を制作する音楽講座、昨年からは演劇ワークショップを、市民受講生を募って開き準備を進めてきた。当初は昨年12月に上演される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大で延期されていた。
 この世に生まれることを嫌がる女の子の魂が、長崎で過去に起きた被爆や水害などの悲劇を知り、そんな中でも前向きに生きる住民らや、お互いを思いやる家族の姿を見て、命の尊さや家族愛の大切さに気付いていくというあらすじ。
 舞台はいくつかの短編物語で構成され、小学生から60代の市民約40人が出演、それぞれの役柄で情感豊かな演技を見せた。小編成オーケストラの生演奏に合わせ、シーンに合わせた多彩な歌やダンスも披露された。
 同市城山台1丁目の50代の女性は「舞台に携わった市民の、古里に対する温かい思いが伝わってきて感動した」と感想を話した。


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