『腕を伸ばしてお風呂に入りたい』患者の悩みに寄り添う『乙女温泉』東京の銭湯が全面協力 両側乳がんになりました126

いつもお読みいただきありがとうございます。

前回の「ふつうは隠すもんなんだけどね・・・」失った胸を補うパッドを忘れた私に厳しいオバさまの言葉

https://sodane.hokkaido.jp/column/202112181030001648.html

に大変多くのリアクションを頂戴しました。その一部です。

『こういう人こそ、自分がなった場合、一番世間にぐちゃぐちゃ言うと思います。サポートしてとか、なった人の気持ちを理解して欲しい!』(40代女性)

『うわー!乳がんになって初めて怒りを覚えました。なにそれ!私は温存なのともともとまな板なので左右差は少ないですが、にしても片胸切った人は隠すべき????私は子宮も取りましたが普通にお股を隠すべきなのかしら?おばさま、髪が薄くなって白髪も目立つので帽子で隠すべきよ?シワシワの顔も普通隠すべきよ?シミもタルミも普通に隠してみなさいよ!!!あー!久々に腹が立ちますねぇ。』(40代女性)

『私も、患者さんが温泉や職場のよく知らない人々から投げかけられた言葉を聞いて、絶句した経験がたくさんあります。普通は隠すのにね、、、と聞こえるように言われて、何かご迷惑でもかけましたか?とその場で聞き返した、この方は、素晴らしいと思いました!!本人から、何か迷惑をかけましたか?と聞き返されお店を出ていかれた方々は、相手の気持ちを想像することに欠いた言動を振りかえることになるはず!少なくとも、その場には居づらくなりお店を出たはずです!言葉を飲み込まず、その場で、本人に、問題を投げかけた彼女は、本当にすごい!』(医療従事者)

私も彼女の一言が生きづらさを変える一歩だったと思います。

温泉で『ふつうは隠すのにね・・・』と言われたことがあります。友人も何人もいます。かえって、自分が温泉に入ることが迷惑になるのではないかとひいてしまう人も多くいます。病になったことだけでも悔しくて悲しいのに楽しみも奪われる、そんな不条理はあってはなりません。温泉が遠ざかる、そんな思いをしている方も多くいます。

そんな乳がん患者さんの『お風呂に入りたい』を支える取り組みが、関西のReborn.R(リボン・アール)渡辺愛さんが始めた『乙女温泉』です。北海道でも函館や釧路で行われています。今回私がお邪魔したのは東京での開催です。

その舞台となったのは・・・東京の西武池袋線 椎名町からすぐの妙法湯さん。数年前に改装されたばかり。

この日は貸し切り。女湯はFirst湯として、温泉デビューされる方用に。男湯はどなたでも入れるということになっていました。乙女温泉の特徴でもあります。

この乙女温泉は乳がん患者さんに限ったものではありません。ストーマをされている方や抗がん剤で髪が抜けているので気を遣う、隠したい場所がある、それ以外でもあらゆる事情でちょっと入りずらい、という方も大歓迎なのです。趣旨にご理解いただける方はどんな方でも参加できます。

みんなが気にせず、入れる世の中になるのがいいよね、という思いです。

気兼ねなく入れる、そして最初から事情がわかっている、ということもあり、打ち解けるのが早い!

軟水炭酸シルキー風呂(細かいあわあわ・・)が人気でずっと入っておられる方がいらっしゃいました。

一か所には『こんぶ湯』が。生の昆布です!

神奈川の八景島シーパラダイスのすぐ側で、養殖されている昆布。この昆布の養殖は温暖化対策の観点で養殖され、昆布が光合成をすることで、杉の木の約5倍の二酸化炭素を吸収するといわれているそうです。大気中の二酸化炭素を減らすことで、温暖化の進行を防ぐ取り組みにもなります。エコ・SDGs!

昆布を洗ってくれたのは地元の子供たちだそうです。

この養殖昆布を収穫し、販売している環境団体の皆さんは養殖した昆布で環境活動に取り組み、養殖昆布を販売して活動資金に充てています。活動を支援したい!と千葉に本社がある会社(株式会社大成)がこんぶのせっけんを開発。ネットを始め、銭湯での販売も開始しています。妙法湯の店主・柳澤幸彦さんからのご縁でこの乙女温泉にも賛同し、会社の方もお越しになっていました。

賛同、ということでもうひとつ。アロマオイルを使ってのハンドマッサージレッスン。こちらも柳澤さんのご縁でお越しいただいたそうで、実演&乳がんの患者さんにも合うオイルを紹介してくださっていました。(ホルモン治療をされていると避けたほうがよいオイルがけっこう、あります)

(右側は乙女温泉主催の渡辺愛さん)

妙法湯さん、改装するときに町の寄り合い所としてイベントなどをすることを考えて、稼働式のロッカーだったり、テレビモニターやスクリーンを用意。今回も男湯と女湯の壁を取り払ってみんなでおしゃべりも楽しみました。

手術後、ようやく大きなお風呂に入れた、とお話されて涙ぐまれる方もおり、イベントの意義を感じました。

柳澤さんは東京都の銭湯の組合の広報担当でもいらっしゃいます。この活動は銭湯としてやるべき事業で今後広げられるように尽力したい、とおっしゃってくださいました。

こうして、患者さん以外の方にもご協力いただいて広がっていくと世の中が変わるんじゃないかなと思います。

札幌でもご協力いただける温泉が決まっています。早く日程をお話できるところまでいきたい、です。このイベントでは入浴着の普及にも取り組みたいと思っています。

2021年も終わろうとしています。患者になって2年半、患者生活に慣れつつも、元に戻れないものもたくさんあります。その中でどう楽しんで、どう一歩踏み出すか。新しい企画も浮かんでいますし、2022年もたくさんの皆さんとピンクのリボンのはしとはしを結んでいきたいと思います。ご協力いただけるみなさん、どうぞお便りお待ちしています。

早速、1月7日(金)は大腸がんの患者であるVTuberのうさこさんと乳がん患者のまどーんさんと一緒に『アピアランスケア(見た目問題)』を考えます。うさこさんはアバターさんで登場。今回はうさこさんだけですが、次回は私もVRの世界に行って、温泉に入りたいなと思っています。とにかく迷ったらわくわくする方向へ、を大事にしていきたいと思います。

よいお年をお迎えください。

© HTB北海道テレビ放送株式会社