【追う!マイ・カナガワ】学童利用料の格差に反響「うちも高い」「ただ安くても…」

共働きやひとり親家庭などの小学生が放課後に過ごす学童保育の様子。クラブによって料金や運営体制も異なる=横須賀市内

 横浜と横須賀の学童保育の料金差について取り上げた27日付の「追う! マイ・カナガワ」の記事に、県内各地の保護者や運営者からさまざまな反響があった。「うちの地域も料金が高い」といった声や、「金額が安いだけで良しとしないで」とする意見もあり、課題の複雑さが浮き彫りとなった。

◆民設には個性が

 横須賀市の民設学童の平均利用料は月1万6千円だが、藤沢市のパート女性(38)は「子どもが通う藤沢の民設学童も月1万6500円と近隣市に比べて飛び抜けて高く、入所を諦める人もいる。同じ県内でここまでの地域格差は理解し難い」と強調。同市によると、市内の71クラブすべてが民設民営という。

 同じく市内の学童がすべて民設民営という海老名市の40代の女性看護師は「うちも1万6千円なので高いと思う半面、学童によって色々な個性があり、市の運営になると色々規制されてしまうのかと気になります」と疑問点も寄せた。

 横浜市には月最大5千円の公設民営「放課後キッズクラブ」(キッズ)があるが、あえて利用料の高い民設学童を選ぶ保護者の声も。同市の女性会社員(45)は「民設には第二の家庭のように親身に保育をしてくれる指導員がいます。料金の安さだけ見ればキッズかもしれませんが、うちは断然民設です」。ただ、「保護者運営の場合は保護者が総務・会計などを担う負担があり、キッズに流れる人が多いと感じています」とも明かした。

◆運営面の苦労も

 横浜のキッズのように、全児童対象の放課後子ども教室と学童保育の一体型事業を全校展開している川崎市でも課題があるようだ。同事業は基本無料だが、同市の40代の女性看護師は月3万円ほどの民設学童に子どもを通わせることを選んだ。「保護者運営なので、子どもに経験させたいことをみんなで相談してできる点が良い。ただ川崎市ではどの民設学童にも補助がなく、資金不足により職員の定着の問題、親の収入により子どもに合った環境を選びにくい状況があると思う」

 料金面だけでなく、運営面の苦労を訴える声もあった。横須賀市の40代の会社員男性は「保育料を払って役員業務もするという、一見矛盾するような経験をした。利用者間の交流が生まれ、楽しい場面もありますが負担でした」と振り返る。同市内で複数の民設学童を運営する男性(62)は「常勤職員の人件費を補助する国の事業を市にも早く採択してほしい。横須賀の子育て世代が、横浜や都心部に流失してしまう」と危機感をあわらにした。

◆取材班から

 学童保育に期待することは各家庭によって違うため、全国で統一した基準を作るのもなかなか難しそうだ。横浜や横須賀に限らず、県内各地でそれぞれ異なる学童事情について、引き続き調査していきます。今後もぜひ、情報をお寄せください。

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