ソフトバンクから楽天育成契約へ 釜元、再出発へ決意 西陵高校時代の恩師に報告

谷口監督(右)の元を訪れて「野球を楽しむ姿を家族や周りの人に見せたい」と話した釜元=諫早市、諫早農高野球場

 プロ野球ソフトバンクでプレーし、来季は楽天と育成契約を結ぶ長崎県諫早市出身の釜元豪外野手(森山中-西陵高)が28日、高校時代の恩師を訪ねて新天地での再出発を報告した。高卒で育成ドラフト1位からはい上がってきた10年間を「もったいなかった」と総括した上で「野球を楽しむ姿を見せたい。もっとやれたのにと感じて次のステージには進みたくないと思った」と決意を口にした。
 選手層の厚いソフトバンクで2016年に1軍デビューし、19年は86試合に出場。「最初はとんでもないところに来てしまったなと正直感じた。でも、自分がやれなかったら、西陵で先生や同級生たちとやってきた3年間も否定してしまうのかなって。やってきたことに間違いはないと今でも思う。半端なことはできない、周りに認めてもらおうとやってきた」
 今季は主に代走で18試合に出場し、レギュラーシーズン最後の2試合は10打数5安打1本塁打と躍動。「クビを覚悟して」家族も招いたその試合後、母や妻から言われた。「野球選手だからじゃなくて、きょうは野球を楽しそうにやってたから、うれしかった」「(それまで)苦しそうにやってたから…」。家族や周囲のためにも、まだ続けようと決めた。
 「最後は誰かのために」。それは西陵高時代の恩師、谷口享監督(現諫早農高監督)の言葉でもある。10月に戦力外通告を受けた1カ月後に長男も誕生した28歳は「家族を幸せにするには、まず自分が楽しく野球をする姿を見せないと。このチャンスを生かして、やりきった経験を得たい」と意気込んでいる。
 そんな教え子に谷口監督も目を細める。「実力も大事だけれど、もう一回挑戦できる運を引き寄せたのは、あいつの人徳と人間力」。自身のチームも秋の県大会で4強。「立場は違う中でも豪から刺激をもらっているし、簡単には負けられないと感じている」。そうほほ笑み、昔話にも花を咲かせた。


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