〈上越経済この1年・中〉M&Aで事業承継相次ぐ 後継者不足、より深刻化

 今年はM&A(企業の合併・買収)が相次いだ。

 4月に廃棄物処理の上越ハイキー(上越市)を上越マテリアル(同)が、8月に日本酒醸造の上越酒造(同)を公営競技関連業務の日本トーター(東京都)が、それぞれ子会社化。9月、有坂建設(上越市)は、メイホーホールディングス(岐阜市)の孫会社となった。11月には型枠工事の竹田工務店(上越市に本店)を、青森県で総合建設業を展開する田名部ホールディングス(青森県八戸市)が子会社化した。いずれも、根底にオーナー家の後継者不在という問題があった。

 M&Aには専門企業の他、金融機関も強い関心を寄せる。第四北越フィナンシャルグループ(FG)の殖栗道郎社長は11月に開いた2022年3月期の中間決算記者会見で「上半期は地銀トップクラスの(M&A)実績を上げることができた。下半期も潜在的に進んでいる案件がある」と述べた。

M&Aには金融機関も強い関心を寄せる。第四北越FGの殖栗社長は「上半期は地銀トップクラスの実績を上げることができた」と述べた(11月、第四北越銀行本店)

 東京商工リサーチ高田支店は「新潟の企業は比較的内部留保や価値の高い資産を保有しており、そうした企業のM&Aは仲介会社が得る手数料も大きい。建設業では、人材確保による業務拡大も期待できる」と分析する。

 人口減による市場縮小、コロナ禍に端を発した先行きの不透明感を背景に、来年以降もこの動きは続きそうだ。上越市の経済関係者は「後継者不在による事業承継はますます深刻化する。多種多様な事案が出るだろう」と話した。

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