「核兵器禁止運動遅れる」 NPT再延期 長崎県内被爆者に危機感

 新型コロナウイルスの感染拡大により、核拡散防止条約(NPT)再検討会議の再延期が決まった。長崎の被爆者は「核兵器禁止の運動が遅れてしまう」などと危機感を募らせている。
 1日に平和公園であった「正月座り込み」に参加した県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(81)は「遅れれば遅れるほど、(核兵器禁止への)間が伸びていく」と警鐘を鳴らす。NPT第6条が定める軍縮交渉義務も、核兵器の小型化や高性能化などにより形骸化されているとして「できるだけ早く開き、6条の実行を迫ってほしい」と要望した。
 3月には核兵器禁止条約の第1回締約国会議が開催予定。延期により、核保有国が一堂に会する前に締約国会議が開かれる見通しとなった。川野議長は「本来は(核兵器削減など)基本的な問題がNPTで確認されて、締約国会議に移る段階だった」として、延期により締約国会議で具体的に何を決めるのかが不透明になり「危うさが残ってしまう」と警戒する。
 被爆者の田中安次郎さん(79)=長崎市矢の平2丁目=は、延期は「大きなハンディ」だが、生まれた時間を活用して「世界の指導者には長崎・広島の資料館を見てもらい、被爆の悲惨さを知ってほしい」と訴えた。

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