レッドブルF1、元空力責任者のアストンマーティン移籍に関し提訴。2022年加入を阻止へ

 レッドブル・レーシングは、元ヘッド・オブ・エアロダイナミクスのダン・ファローズのアストンマーティン移籍を遅らせるために法的措置に動いたといわれている。ファローズはアストンマーティンF1チームのテクニカルディレクターに就任する予定となっている。

 2021年6月、レッドブルはファローズの離脱を発表。その際にクリスチャン・ホーナー代表は、次のようにコメントした。

「チームの成功における彼の貢献に感謝したい。レッドブル・レーシングにおいて重要な役割を果たしてきた彼が去ることは残念だ」

「しかしながら、F1チームのテクニカルディレクターの役割を担うというチャンスは、彼のキャリアにおいて魅力的な次なるステップであることは理解できる」

「この動きによってチーム内部で前進を図る機会が生まれるため、将来に目を向け、より幅広い視野でチーム内の豊富な才能ある人材を活用していく」

 ファローズは、2006年に空力部門のリーダーとしてレッドブルに加入、2014年にはヘッド・オブ・エアロダイナミクスに昇進、15年にわたりチームに貢献した。

 アストンマーティンは、ファローズが6カ月のガーデニング休暇を終えて、2022年序盤に正式に加入することを希望していた。しかしレッドブルは、ガーデニング休暇期間がスタートするのは、本来の契約が終了する2022年12月31日であると主張する。そうであれば、ファローズがアストンマーティンに移籍できるのは2023年7月からになってしまう。

ローレンス・ストロール(アストンマーティンF1チームオーナー)

 レッドブルはこの件をイギリスの裁判所に持ち込み、2021年12月17日に最初のヒアリングが行われ、2022年1月25日から28日に再び審理が行われる予定となっている。

 裁判資料によると、ファローズはレッドブル・レーシングの業務から外されて、レッドブル・テクノロジーズにおいてアストンマーティンのハイパーカー、ヴァルキリーのプロジェクト担当に回された。これは契約上認められる異動だったという。しかしファローズはこれに不満を示した後、退社した。

 しかしレッドブルは、退職強要がなされたわけではなく辞職であったとして、ファローズとの契約と契約条件は「保たれており、完全に効力を持って維持されている」と主張している。

 これに対してファローズは、自分はレッドブルから解雇されたと主張、「最低契約期間は取引制限にあたるため、強制力を持たない」と主張している。

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