神奈川県が職員の趣味やスキルを活用できる取り組みを進める中、本格的な作家活動に取り組む職員や得意のイラストを業務に生かしている職員がいる。
福祉子どもみらい局共生推進本部室の安藤祐介さん(44)は週末を中心に自宅や近所の喫茶店で小説を執筆。デビュー作「被取締役(とりしまられやく)新入社員」がTBS・講談社第1回ドラマ原作大賞を受賞し、2008年にテレビドラマ化された。
最近でもシニアラグビーを題材にした「不惑のスクラム」、パワハラがテーマの「六畳間のピアノマン」がテレビドラマになった。
安藤さんは「職務と執筆活動を切り分けるのは当たり前」ときっぱり。今後の作品については「スーパーヒーローではなく身近な人間の葛藤や成長を描きたい」と意気盛んだ。
総務局行政管理課の古河崇さん(49)は働き方改革を職員に意識付けようと、職員用ポータルサイトに自作の4こま漫画を掲載。「内容が面白い」と庁内外で話題になっている。
ペーパーレス化を呼び掛ける作品は、時代劇の定番「越後屋」と悪代官の密談シーン。幕府がペーパーレス化の「お触れ」を出す中で越後屋がこっそりと紙の会議資料を悪代官に差し出し、「お主も悪よのう」とやりとりが交わされる。
小学生の頃からプロの漫画家になりたかったという古河さん。「ストーリーは設定とジョーク、オチがそろったときに流れが出来上がる」と語り、無関心層を引きつけるため、ノートとペンを手に散歩の中でアイデアを練る。