ステージ優勝から一転、アル・ラジにペナルティ。首位アル-アティヤが4日目の勝者に/ダカールラリー

 1月5日、ダカールラリー2022は競技4日目に“ステージ4”が行われ、オーバードライブ・トヨタのヤジード・アル・ラジ(ハイラックス・オーバードライブ)がステージ暫定首位となったが、その後、同選手に2分のタイムペナルティが科されたため、暫定2番手でフィニッシュしたナッサー・アル-アティヤ(TOYOTA GAZOO Racing/GRダカールハイラックスT1+)が繰り上がりでステージ優勝を飾った。

“世界一過酷なレース”と呼ばれるイベントの競技4日目のステージは、サウジアラビア北部のアル・カイシュマから首都リヤドへと進むルートがとられた。スペシャルステージ(競技区間)の465kmと、リエゾン(移動区間)を含む1日の総走行距離707kmはともに今大会最長となる。

 そんなステージ4をもっとも早く駆け抜けたのは、前年大会で2度のステージウインを飾っているアル・ラジだった。しかし、ハイラックス・オーバードライブを駆る地元のドライバーは、スピード違反による2分間のペナルティを受けステージ5番手に降格となってしまう。これにより14秒差の暫定2番手タイムでフィニッシュしたアル-アティヤが、アル・ラジに代わってこの日最速の称号を手に入れ、通算44回目のステージ優勝を果たした。
 
 同ステージは長距離ながら僅差での争いとなり、ステージ2番手となったセバスチャン・ローブ(バーレーン・レイド・エクストリーム/BRXハンターT1+)が25秒差、同3番手タイムを記録したカルロス・サインツ(チーム・アウディスポーツ/アウディRS Q e-tron)は52秒というタイム差でフィニッシュしている。
 
 総合順位では首位アル-アティヤと2番手ローブのオーダーは変わらない一方、アル・ラジが前日の4番手から3番手に浮上した。総合首位とのギャップはローブが38分05秒、アル・ラジは49分15秒だ。
 
 競技初日に大きく遅れたチーム・アウディスポーツのステファン・ペテランセルは、このステージでふたたびアクシデントに見舞われた。2021年王者が駆るアウディRS Q e-tronはジャンプの着地時にショックアブソーバーが破損。さらに衝撃でエンジンの水冷システムの修復も必要になったことから、ふたたび多くの時間を失うこととなった。

 ローブのチームメイトで2度のダカールウイナーであるナニ・ロマ(BRXハンターT1+)にもアクシデントが襲う。彼のクルマは砂丘のディップ部分でローリングし、この影響でホイールに大きな損傷を負ってしまう。修復にはかなりの時間を要するため、ロマはこの日の競技続行を諦めデイリタイアを喫している。

車両トラブルで今大会2度目となる大きなタイムロスを喫したステファン・ペテランセル(アウディRS Q e-tron) ダカールラリー2022
初日から総合首位を守り続けるナッサー・アル-アティヤ(GRダカールハイラックスT1+) ダカールラリー2022
総合2番手につけているセバスチャン・ローブ(BRXハンターT1+) ダカールラリー2022
ステージ3番手となったカルロス・サインツ(アウディRS Q e-tron) ダカールラリー2022
デイリタイアを喫したナニ・ロマ(BRXハンターT1+) ダカールラリー2022

■二輪部門でホンダ勢がワン・ツー・フィニッシュ

 四輪部門・市販車クラス9連覇を狙うトヨタ・オートボデーは、ロナルド・バソ(トヨタ・ランドクルーザー200)がクラストップでフィニッシュし、三浦昂(トヨタ・ランドクルーザー200)は僚友から25分遅れながら同2番手で今大会最長ステージを走破した。総合順位では三浦が44番手、バソが50番手となっている。
 
 トラック部門の排気量10リットル未満クラスを戦う、日野チームスガワラの菅原照仁(日野600ハイブリッド)は今大会ベストリザルトとなる部門12番手でフィニッシュし、総合順位も前日の22番手から20番手に上げてみせた。

 二輪部門ではモンスターエナジー・ホンダのジョアン・バレーダ(ホンダCRF 450ラリー)と、僚友のパブロ・キンタニラ(ホンダCRF 450ラリー)がワン・ツー・フィニッシュを記録した。

 ステージ3番手には当初、ダカール・ルーキのダニロ・ペトルッチ(テック3KTMファクトリー・レーシング/KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)が入っていたが、10分のタイムペナルティを受けて15番手に降格。代わってシェルコ・ファクトリーのルイ・ゴンサルヴィス(シェルコ450 SEFラリー)が3番手となり、チームメイトのロレンツォ・サントリーノ(シェルコ450 SEFラリー)が同4番手で続いている。

 総合ではサム・サンダーランド(ガスガス・ファクトリー・レーシング/KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)が引き続き首位を堅持した一方、レッドブル・KTMファクトリー・レーシングのマティアス・ウォークナーが3番手から2番手に浮上。前日、首位に対して4秒差に迫ったアドリアン・ファン・ビファレン(モンスターエナジー・ヤマハ・ラリーチーム/ヤマハWR450F)が3番手にドロップしている。サンダーランドとウォークナーのギャップは3分ジャスト、ファン・ビファレンは4分54秒遅れている。

 6日(木)のステージ5は首都リヤドをスタート/フィニッシュ地点として行われる2022年大会3度目のループステージだ。競技区間の走行距離は346km、リエゾンを含む総走行距離は560kmとなっている。

ステージ4を制したジョアン・バレーダ(ホンダCRF 450ラリー) ダカールラリー2022
ダニロ・ペトルッチ(KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ)はステージ4を3番手タイムで終えるも、10分のタイムペナルティを受け15番手に降格 ダカールラリー2022
シェルコ・ファクトリーのルイ・ゴンサルヴィス(シェルコ450 SEFラリー) ダカールラリー2022
二輪部門の総合首位に立っているサム・サンダーランド(KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ) ダカールラリー2022
総合2番手に浮上したマティアス・ウォークナー(KTM450ラリー・ファクトリー・レプリカ) ダカールラリー2022

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