DeNAに必要な「クローザー」 ラミレス前監督が重要視する“メンタル”とは?

前DeNA監督のアレックス・ラミレス氏【写真:荒川祐史】

気になる古巣…昨年の戦いは「ほぼ全部見ていました」

2020年まで5年間、DeNAの監督を務めたアレックス・ラミレス氏が「Full-Count」のインタビューに応じた。野球界から離れた昨年も古巣の試合は「ほぼ全部見ていました」という前指揮官は、最下位からの巻き返しを図る2022年の戦いを、どう見ているのだろうか。

三浦大輔監督の就任1年目だった昨季は、12球団で唯一開幕時に全外国人選手が不在だったことも響き、開幕から8戦未勝利(2分けを挟んで6連敗)。大きく出遅れ、最終的にも6年ぶりの最下位に沈んだ。

ラミレス氏がポイントに挙げたのが、クローザーの存在だ。自身が指揮を執っていた2020年、絶対的守護神だった山崎康晃が不振に苦しみ、7月下旬から三嶋一輝を抑えに据えた。三嶋はそこから18セーブを積み上げ、昨季も開幕から9回を任されたが、防御率4.08と不本意な数字でその座を明け渡した。

「クローザーはメンタルの部分が凄く大きい。“何があっても俺が抑える。俺こそがクローザーだ”という気持ちが必要。“今日良ければ明日もクローザーかな”という曖昧な気持ちでは投球に影響する。昨年はできなかったクローザーの確立、そこがまず修正していくポイントかなと思います」

野手は牧秀悟、桑原将志、宮崎敏郎、佐野恵太と4人の3割打者を擁し、わずかに規定打席に到達しなかったもののタイラー・オースティンも打率.303をマークした強力打線。「マイナス面をみると、盗塁やバントができる人がいない。選手層を見ると細かい野球ができる打線ではないので、どうやって一番ベストな采配で得点していくかが興味深いですね」と語った。

DeNA・山崎康晃【写真:荒川祐史】

気になるポジション争いは「遊撃と捕手」

“盤石”の外野陣など、アクシデントがなければレギュラーは多くが昨年と同じメンバーとなりそう。その中で「争いに注目したい」とラミレス氏の言葉に熱が入ったのは、遊撃と捕手のポジションについてだ。

遊撃については「森がブレークすることはあり得るかもしれないが、現実的にはまだ育成しているところ。大和と柴田は複数ポジションを守れて使い勝手がいい」と分析。リードをしている試合終盤、ソトを下げて二塁の牧を一塁にする作戦が有効的だとした上で「そうなるとショートは初回から最後まで出てもらいたい。僕の考えでは遊撃は大和です。クラッチヒッターで、年齢もあり盗塁は前ほど積極的ではないかもしれないが、走力自体はある。やはり彼が重宝されるのかなと思います」と持論を展開した。

捕手は昨季、先発出場を伊藤光が最多の47試合、戸柱恭孝が39試合、山本祐大が33試合、嶺井博希が22試合と分け合った。ラミレス氏は「山本が正捕手になるべきだと思う。セ・リーグを見てもトップ3に入る素晴らしい肩を持っている。しかし現状では打撃面を含めてマイナスな部分も多く、毎日使うべきとは思わない」と高いポテンシャルを持つからこそ厳しい言葉を並べた。

そして自ら「戸柱に言及したい」とプロ7年目を迎える31歳の名前を挙げた。「救援陣との数字の良さ、試合をコントロールする能力を考えれば、結果を出す可能性は一番高いのかなと思います。マイナスな部分はもちろんあるが、毎日出れば2割4分~5分、10本塁打、40打点くらい打つ可能性はある。一番重要なディフェンス面で防御率3点台に収めてくれるのであれば、彼が出るべきだと僕は思います」と混戦の捕手事情をにらんだ。

「ベイスターズ、キニナルネ~」と笑ったラミちゃん。「現状では他のチームの方がプラス面が多い感じがする。ただ、ぜひそういう面を修正して、優勝争いに加わってもらえればなと思います」。在任5年間で3度のAクラス入り、2019年にはDeNA史上最高の2位に導いた男は、温かくも鋭く、古巣の戦いぶりを見ている。(町田利衣 / Rie Machida)

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