2022年導入Next-Genの出力仕様が670PSに確定「各戦で高馬力、低ダウンフォース」を狙う/NASCAR

 NASCAR最高峰カップシリーズへの2022年導入に先立ち、各陣営の手で精力的なテストが続けられてきた新規定車両“Next-Gen”モデルだが、シリーズの技術部門はデビューに向けたテクニカルパッケージを確定させ、スーパースピードウェイ以外のすべてのトラックで「4インチのリアスポイラーと670馬力の出力トリム」を採用することを発表した。

 シーズンオフに突入して以降、トヨタ、シボレー、フォードの2022年型モデル群はアメリカ・ノースカロライナ州のシャーロット・モーター・スピードウェイを中心に各地でテスト走行を続けてきた。

 NASCARのシニアバイスプレジデント兼チーフレーシングデベロップメントオフィサーのスティーブ・オドネルによれば、そのテスト成果を踏まえデイトナとタラデガのスーパースピードウェイを除き、チームは来シーズンすべてのトラックで、従来のショートトラック用やロードコース用に匹敵する「より高い馬力、より低いダウンフォースのクルマに移行する」決断を下したという。

「我々としては、すべてのトラックでその仕様を走らせる意向を固めた。まだまだテスト後にチェックする必要のあるボックスがいくつか残るが、各マニュファクチャラーとチームが一緒になり、それが我々NASCARとして行きたい方向であることを確認できたんだ」と語ったオドネル。

 関係者はNext-Gen発表の当初、ミドルトラックで8インチスポイラー/550PS仕様を採用し、ロードコースでは4インチスポイラー/670PS仕様とする計画を発表していた。しかし、ドライバーたちからは「Next-Genマシンの技術構成を考えれば、より多くの馬力を備えるべき」との提唱がなされてきた。

12月のテストでは、スポイラーとエンジン出力の仕様で、都合4種類のバージョンが試された
グループテストでは、新型エアロパッケージがドラフティング内でどう機能するかも確認された
Hendrick Motorsports(ヘンドリック・モータースポーツ)の2020年王者チェイス・エリオットも新型シボレー・カマロZL1をドライブ

■決定したセットアップは「熾烈でパワフル、かつ激しいバトルにつながる」

 カップシリーズに参戦するチームは、昨年末のテストでスポイラーのサイズに加えてさまざまなエンジン出力構成で走行を繰り返し、中央に7インチのスポイラーを備えた550PS、中央に6インチのスポイラーを備えた670PS、そして右サイドにオフセットした6インチスポイラーを備えた670PS仕様など、異なるエアロパッケージを試していた。

 一部のチームではリアウインドウの“シャークフィン”も試されたが、18チームが参加したグループテストのデータも踏まえて、4インチのセンタースポイラーと670PSのエンジン出力を「ほぼすべてのトラックで採用する」こととなった。

「何時間にもわたる風洞とオントラックテスト、そしてドライバーや業界からのより大きなフィードバックの後、NASCARはスーパースピードウェイ以外のNASCARカップシリーズの各イベントで、より高い馬力、より低いダウンフォースに移行する」と改めて表明したオドネル。

 デイトナ・インターナショナル・スピードウェイとタラデガ・スーパースピードウェイは、引き続きスーパースピードウェイ固有のエアロパッケージを備え、新しく舗装されたアトランタ・モータースピードウェイに向けては、3月20日の実戦を前に今月以降のトラックテストで馬力とダウンフォースの構成を確認する予定だ。

「670PSエンジンと4インチスポイラーを搭載したセットアップは、熾烈でパワフル、かつ激しいバトルにつながり、レースを世界最高峰のドライバーたちの手に委ねることができると確信する。それがNext-Gen車両を開発する際に、我々がこの業界に設定した目標だったんだ。現時点で自分たちが向かう方向に自信を持っており、2022年以降のレースをとても楽しみにしているよ」

Team Penske(チーム・ペンスキー)は、オースティン・シンドリックの車両で“シャークフィン”もテストした
カイル・ブッシュがドライブするJoe Gibbs Racing(ジョー・ギブス・レーシング)のトヨタ・カムリ
再舗装が進むアトランタ・モータースピードウェイでの仕様トリムは、今後のテストを経て確定する見込みだ

© 株式会社三栄