核廃絶運動への距離感、どう向き合う? 長崎市で高校生や専門家らが討論

高校生や核問題の研究者らが、核兵器廃絶に向けた平和運動の在り方について語ったパネル討議=長崎市筑後町、ホテルセントヒル長崎

 今月22日で核兵器禁止条約の発効から1年となるのを記念した「高校生平和集会」(実行委主催)が8日、長崎市内であった。国連に核兵器廃絶署名を届ける「高校生平和大使」や核問題の専門家らによるパネル討議では、核廃絶運動で感じる世間との距離感や、寄せられた懐疑的な声、それらとの向き合い方について意見を交わした。
 司会の第23代大使、大隈ゆうかさん(18)は、気候変動対策を訴え世界的運動につなげた若者グレタ・トゥンベリさんへの受け止めを、登壇者に質問。第23代大使の大澤新之介さん(18)は「若者でも世界に発信できると勇気をもらった」。同大使派遣委共同代表の在間秀和弁護士は、グレタさんが世界の若者の共感を得たとして「核廃絶問題も同じ。地道に周囲の人に訴え、共感を呼ぶ動きをつくることが必要」と述べた。
 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)の中村桂子准教授は、環境対策や平和運動に取り組む人に対し「『すごいけど自分とは違う』と距離を感じる人も少なくない。どう乗り越えるかが課題」と指摘。第24代大使の川端悠さん(17)は「『すごい』だけでなく、平和大使の活動について質問してくれる人もいる。特別な活動ではないと伝えないと」。大澤さんは「気候変動は身近な気温上昇などで関心を持ちやすいけど、核問題はニュースでしか聞かず関心を持ちづらい」と述べた。
 署名活動の中で核廃絶に懐疑的な意見が寄せられることにも話が及び、中村准教授は「(核抑止論など)異なる意見の人を排除するのではなく、真剣に言葉を返すやりとりをしないと議論は進まない。そのためにも、ものすごく勉強して自分自身を力強くしないといけない」と呼び掛けた。
 集会は同大使や「高校生1万人署名活動実行委員会」メンバーが企画し、約40人が参加した。

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