催涙ガスの痛みを玉ねぎで和らげ、ヴァイオリンの練習を続ける女性 「クレッシェンド」本編映像

1月28日から劇場公開される、実在の管弦楽団の実話から生まれた映画「クレッシェンド 音楽の架け橋」から、パレスチナ人のレイラが自宅で必死にヴァイオリンを練習しているシーンの、本編映像が公開された。

部屋の外では暴動が起きており、爆撃音やサイレン、人々の言い争う声が聞こえてくる。ヴァイオリンの練習をするレイラは、ある異変に気づいて台所へと向かい、おもむろに玉ねぎを切り、断面の匂いを大きく吸い込み始める。苦しそうな表情を浮かべながらも、玉ねぎを嗅ぎ続けるレイラ。部屋に入り込んできた催涙ガスの痛みを、玉ねぎで和らげているのだった。そして、再び練習を再開するレイラの姿と、壁に貼られたオーディションのチラシが映し出される。レイラにとってオーディションは、国際的な音楽家になるための、一生に一度のまたとないチャンスなのだった。

玉ねぎを嗅ぐのは、パレスチナの人々の知恵であるという。催涙弾や実弾が発射されることも珍しくはない紛争地で生きる彼らの、壮絶な日常が垣間見えるシーンとなっている。

「クレッシェンド 音楽の架け橋」は、紛争の続くパレスチナとイスラエルで結成された、音楽家を夢見る若者たちのオーケストラの物語。和平コンサートを目前に控えた21日間の合宿で、若者たちは激しく憎しみをぶつけ合う。モデルとなった「ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団」は、中東の障壁を打ち破ろうと1999年に設立され、現在も世界中でツアーを行うなど活動を続けている。監督をイスラエル・テルアビブ出身のドロール・ザハヴィが務め、「ありがとう、トニ・エルドマン」のペーター・シモニシェックが、若者たちを導くマエストロを演じる。

【作品情報】
クレッシェンド 音楽の架け橋
2022年1月28日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
配給:松竹
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