無人の小型観光船で横須賀・猿島へ 世界初の運航実証実験

操舵室の屋根に設置したカメラなどから情報収集し、猿島(右奥)まで自動運航した小型観光船=横須賀市

 小型観光船の無人運航実証実験が11日、神奈川県横須賀市の猿島で行われた。日本財団が主体となり2020年から進めてきた無人運航船プロジェクトの一環で、将来的には観光船のほか、船員不足に悩む離島航路の維持などへの技術活用を目指す。同財団によると、小型観光船での無人運航実験は世界で初めてという。

 猿島での実験には丸紅や三井E&S造船、猿島航路を運航する「トライアングル」、横須賀市が参加。通常の猿島航路で使用している小型旅客船「シーフレンドゼロ」(19トン)にカメラやセンサーなどを設置し、機器から得た情報を基に自律操船システムで運航した。新三笠桟橋(同市小川町)を離岸し、約1.7キロを約10分で航行、猿島の桟橋に着岸するまでを自動で行い、航路上に他船を検知した場合に減速、回避する実験も行った。

 海運業界では船員の人手不足と高齢化が深刻化しており、無人運航は解決策として期待される。同財団では本年度末までに猿島のほか、県外でコンテナ船や水陸両用車など計6隻の無人運航船の実証実験を実施予定で、事業費総額約88億円のうち約74億円を支援した。25年までに無人運航船の実用化、40年までに内航船の5割の無人運航化を目指す。

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