元阪神・呉昇桓が40歳で最多セーブを獲れる理由 韓国紙が深堀り「20代と同じ」

現在はサムスンに所属する呉昇桓(右)【写真:Getty Images】

2年間阪神でプレーした呉昇桓は昨季、韓国で40歳の最多セーブに

2014年から2年間、阪神で活躍した呉昇桓(オ・スンファン)投手にとって、昨季は復活を印象付けるシーズンだった。2019年夏に韓国プロ野球の古巣・サムスンライオンズに復帰して2年目、63試合に登板し44セーブ、防御率1.92という好成績で最多セーブのタイトルを獲得した。1982年生まれの呉昇桓は、数え年だと昨季で40歳。韓国紙「ソウル新聞」が「歴代最強の40歳」という記事で、活躍の秘密を探っている。

記事は呉昇桓の活躍を「呉昇桓にとって昨季は『老将はまだ生きている』という言葉をそのまま見せたシーズンだった。韓国の年齢では40歳、リーグ最高齢の投手だったが、若い投手を抜いてセーブ1位となり(愛称の)“石仏”の尊厳を見せた」と称えた。

さらに「15年前にもリーグ最高の抑えだった彼が、いまだに最高の仕事をできる理由は何なのか」として、本人の「年齢に対して、ストレスや難しさを感じないことが大切だ」というコメントを紹介している。

他の大ベテランと同じように、呉昇桓も周辺から年齢の話を聞くことが多いという。しかし彼はそこで悩むのではなく、20代の頃と同じ気持ちで野球に臨んでいる、年齢を言い訳とした妥協はない。

その証拠に、呉昇桓が試合に臨むにあたってのルーティンは、20代のころと変わっていないのだという。本人も「トレーナーは練習量を減らすと言うが、練習に費やす時間も同じで、シーズンでの生活も以前と変わらない」と強調。鎧のような上体の筋肉は20代の頃と変わらず、自分が年を取ったとは感じられないという。

東京五輪では韓国代表に選出されていた呉昇桓【写真:Getty Images】

変わらぬ準備、変えた投球の組み立て…さらに結婚も

変わったとすれば投球の組み立てだ。阪神時代も「石直球」と呼ばれた剛速球は楽に150キロを超え、最大の武器だった。それが「日本と米国を経験したが、打者の傾向も変わり、能力も向上している。そこに合わせていかなければならない。私の能力も冷静に判断した時、直球だけにこだわるとマイナスになると思った」と変化球を交えるスタイルに変化しているという。

さらに呉昇桓が強調するのは、継続することの大切さだ。

記事では練習についての呉昇桓の考え方を「短期間だけではなく、着実にしていくのが重要だ。最近の選手はたくさんルーティンを持っているが、それが自分のためになっていないのなら、ちょっと楽をできる誤ったルーティンなのかもしれないと認めなければ」というコメントで紹介している。

昨季、サムスンはレギュラーシーズン144試合を戦ってKTウィズと同率1位となり、一発勝負の優勝決定戦で敗れシーズン2位。プレーオフでも斗山ベアーズに敗れ韓国シリーズへ進めなかった。記事は「呉昇桓の今季の目標は当然、優勝だ。チームの優勝のために健康を維持することも目標となる。いつか引退はやってくるが、まだ競争力があり、引退を考えるよりも優勝を考えるほうが切実だ」としている。また21日には結婚式を控えており「遅く結婚したもので、生じた責任感でもっと良い姿をお見せできるように努力したい」というコメントが紹介されている。

呉昇桓が韓国、日本、米国で残した通算成績は通算911試合登板、461セーブに及ぶ。まだ当面、数字を積み上げて行きそうだ。(Full-Count編集部)

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