大学入学共通テスト救済策 神奈川の大学も対応に苦慮「何も決まってない」「受験生の信頼失う」

 新型コロナウイルスの影響で受験生が大学入学共通テストを受けられなかった場合の救済策として、国公立大の個別試験などで合否判定するよう文部科学省が求めていることに対し、県内の大学も対応に苦慮している。他の受験生との公平性の確保を考慮しながら対応を検討中で、テスト直前に方針を決めた文科省に対し憤りの声も上がった。

 「文科省から通知が来たばかりで、まだ何も決まっていない」。そう話したのは横浜国立大(横浜市)の担当者。15日から始まる共通テストの会場準備に追われており「ここ数日で対応を決めて周知できる状況ではない」と困惑気味だ。

 横浜市立大(同)も同様の状況で、担当者は「通知を踏まえ、公平性に留意しつつ個別状況に応じて適切に対応していく」としながらも憤りを隠せなかった。2年ほど前に英語民間試験や国語・数学での記述式の導入を巡って文科省が迷走し、断念した経緯があるからだ。「迷走の教訓はどこにいったのか。これほど重大な問題への対応を大学側がここ数日で決めてしまっては、この1年準備をしてきた受験生の信頼を失ってしまう」と危機感を募らせた。

 県立保健福祉大(横須賀市)は「学内で検討し、できるだけ早く対応策を決めたい」としている。

 私立大も対応に追われている。共通テストで合否を決める選抜区分がある関東学院大(横浜市)は、検定料を返還した上で個別試験への振り替え出願を勧める方向で検討している。神奈川大(同)は速やかに対応を決めて周知する予定という。

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