ついに労使交渉再開 機構側が選手会に対して新しい案をオファー

日本時間1月14日、メジャーリーグ機構とメジャーリーグ選手会はZOOMによるオンライン形式での労使交渉を行った。本格的な話し合いが開催されるのは6週間前にロックアウトが始まって以降、初めてとなる。関係者によると、機構側はサービスタイム(メジャー登録日数)2年以上の選手のサラリーを成績に応じて大きく上昇させる、トップ・プロスペクトを開幕ロースターに登録することを各チームに奨励するなど、新たな案をオファー。しかし、選手会が満足するような内容ではなかったようだ。

機構側は「若手選手のサラリー上昇」や「プロスペクトのサービスタイム操作対策」に加え、すでに双方のあいだで共通認識のある問題についても提案を行ったという。これにはタンキング抑制のためのドラフト指名順の変更、ポストシーズン出場枠の拡大、ユニバーサルDH(両リーグでの指名打者制)の導入といった項目が含まれる。「タンキングを防止して全30チームによる競争を実現したい」という選手会の要望に応えようという姿勢を一応示した形だ。ただし、ぜいたく税の課税ラインの引き上げやFA資格を得るまでの期間の短縮などを求める選手会の主張に沿った内容とは言い難い。

ロックアウト前の機構側の案には、メジャー最低保証年俸の引き上げ、ぜいたく税の課税ラインの引き上げ、クオリファイング・オファー制度の廃止など、選手会への譲歩が多く盛り込まれていたが、今回の新たな案に盛り込まれなかったものも多くある。ぜいたく税の課税ラインについては、機構側が2億1400万ドルからスタートして最終的に2億2000万ドルまで引き上げるとしていたのに対し、選手会は2億4500万ドルを主張。また、ポストシーズン出場枠についても機構側は14球団、選手会は12球団を希望するなど、意見が分かれていた。

今後はまず、選手会がカウンターオファー(対案)を提示し、それに再び機構側がカウンターオファーを出すという形で妥協点を見つけていくことになる。今回の機構側の新たな案で大きな進展があったとは言い難いが、労使交渉が再開されたことだけは事実。2022年シーズンの開幕を無事に迎えられるか注目だ。

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